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更新 Q&A

 

スイスの緊急非常体制 ─ 非常食 ─

去る9月1日にNHKの地球ラジオに出演する機会があり、「世界まるごと質問箱」コーナーで、スイスの非常食のこと、シェルターのことなどについて話す機会があった。その準備のために、州の「民間防衛」事務所を訪ね、「非常食」や緊急時の避難態勢などについて質問してみた。

NHKでは、9月1日が日本の「防災の日」にあたることから、世界中でどんな非常食を用意しているのかを番組で取り上げたが、スイスでは、戦中や東西冷戦時期は、まだ非常時に対する体制が整備されていたものの、1989年のベルリンの壁崩壊以後、非常事態に対する準備は予算削減の波に飲み込まれ、年々減少していることが分かった。

かつては、各カントンに緊急時の食料を保管する大きい建造物があり、小麦粉や穀物類などを保管していた。さらに、ミグロやコープのような大手食品会社が、長期保存が可能な食料品を非常時体制のために、最低6カ月ストックしておき、その期間が過ぎると通常の市場ルートで流通するシステムがあったという。

一方、緊急避難場所として、シェルターの常設が義務づけられていることをよく聞く。現在50人以上が居住したり、集まる建物にはシェルターの設置が義務づけられているが、50人未満のところは、公共の避難所が使用でき、そのための料金を住民が払うシステムになっている。

スイスでは、戦後ほとんど非常事態を経験したことがなかったので、国民の危機に対する意識が希薄になっていると言われる。現在、年1回警報サイレンのテストが行われるが、避難訓練などは一般化していない。しかし、2011年3月11日の東日本大震災で、多くのスイス人がショックを受け、防災意識が再び高まってきているのも事実だ。避難訓練の必要を訴える声も強くなっているという。

2月11日(土)にチューリッヒの近くで地震があったそうですね。どれぐらいの強さだったのでしょうか。スイスで地震は珍しいと思いますが、スイスの地震事情はどうなっているのでしょうか。
スイスでは、連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)に連邦地震観測研究所があります。名称は独語/Schweizerischer Erdbebendienst、仏語/Service Sismologique Suisse、伊語/Servicio Sismico Svizzeroです。

 この連邦地震観測研究所のホームページでは、スイスの地震事情について簡単な解説があり、時々刻々の地震情報が掲載されています。独・仏・伊・英語で見ることができます。お尋ねの2月11日(土)については、「23時45分、ツークとエゲリ湖(Aegerisee)の中間地点の地下30kmを震源地として、マグニチュード4.2の地震があった」と報告されています。スイスドイツ語圏、ベルン州ジュラ地方、ティチーノで揺れが感じられたそうです。

そして、2月24日(金)午前1時32分に、ほぼ同じ地点の地下35 km付近で、マグニチュード3.5の揺れが記録され、2月11日の余震と見られています。13世紀以降、今日まで、およそ1万回の揺れが観測され、その内、大きな被害を出した地震は12回あったと解説にあります。世界的に見た時、スイスの地震事情は平均的な位置にあるといわれます。ヨーロッパでは、地震がほとんど観測されないスカンジナヴィア半島から地震の頻度の高いイタリア、ギリシャなど幅があります。

スイス連邦地震観測研究所 www.seismo.ethz.ch/index

先日、電車に乗る前に切符を買う時間がなく慌てて乗ったところ、乗車券以外に罰金として90CHFを請求され驚きました。以前は電車の中でも切符が買えたのですが、どうなっているのでしょうか。
昨年12月10日までは、スイス国鉄の急行電車や特急などに切符を持たずに乗車しても、若干の手数料を払って乗車券を購入することが可能でした。
 しかし、昨年12月11日のダイヤ改正の際に、スイス国鉄では乗車券を持たずに乗車した場合には罰金が科される制度が導入され、導入前にサンタクロースが切符を見せているイメージがいろんなところに張ってあり、キャンペーンが行われました。近郊電車(S-Bahn/RER)などでは、目のマークがついた「注意書き」が車内に張ってあり、「車掌がいないけれども、自分でコントロールしてください」と明記してあり、乗車券を持って乗車することが義務づけられていましたが、昨年末からは、罰金制度がスイス国鉄全線で導入されています。

乗車券を持たずに電車に乗った場合、車内で乗車券料金+罰金90CHFが請求されます。持っている乗車券区間を越えて電車を利用している場合は、70CHFの罰金が科せられます。無賃乗車を繰り返すと罰金が段々高くなる仕組みになっていますのでご注意ください。ただし、外国人ツーリスト、子供、障害者などは例外として「この制度が問答無用に適用されないよう配慮している」と、スイス国鉄側は説明しています。

詳しくは下記をご覧下さい。

スイス国鉄サイト(独・仏・伊・英語) http://www.sbb.ch/
Bahnhof & Services(国鉄駅とサービス)のコーナーにいろんな情報が掲載されています。

昨年12月14日の連邦内閣の大臣選挙をテレビで見ましたが、投票が何度も繰り返されいるので、よく分かりませんでした。大臣選挙はどのように行われるのでしょうか。

連邦内閣(Bundesrat/Conseil federal/Consiglio federale)は7名の大臣で構成されています。連邦合同議会(国民議会200議席と全州議会46議席の合同議会)で選挙が行われ、選出されます。現行制度では、国民は直接に投票に参加できません。しかし、連邦内閣大臣を国民投票で選出することを求めるイニシアティヴが起こされ、必要な署名数が集まったので、今後、このイニシアティヴが国民投票に付されます。そこで、承認されれば、近い将来、国民投票での大臣選出が実現することになります。

連邦内閣前大臣の改選は、4年ごとに行われます。それに先立ち、総選挙(昨年の場合は10月23日)が行われます。スイス国籍を有する有権者であれば、誰でも大臣に選ばれる権利があります。しかも、正式に立候補する必要はありません。

選挙は、以下の手順で選挙が行われます。

1)投票方法は秘密投票。7つの大臣ポストについて、ひとつひとつ順番に投票します。
2)1巡目と2巡目の投票では、被選挙権のある者なら誰にでも投票できます。
3)3巡目以降の投票では、新たな候補者は認められません。
4)どの候補者も有効投票数の過半数に達しなかった場合、得票数の一番少なかった候補者が次の投票の権利を失います。
5)候補者の一人が、有効投票数の過半数に達するまで、投票が繰り返されます。そして、過半数に達した候補者が大臣に選出されます。
 
上記の手順で、7人の大臣ポストについて、投票が行われます。

連邦内閣大臣の選挙の後、連邦内閣事務長(Bundeskanzler/in, Chancelier/ere federal/e, cancelliere della Confederazione)の選挙が行われます。

詳しくは下記サイトをご覧下さい。(独・仏・伊・英語)
www.ch.ch/private/00987/01052/01054/02444/index.html?lang=de

おすすめ!! 『新・わかるスイスの年金制度』 ─ 是非手元におきたいハンドブック(2011年 日本語解説版)─ スイス日本ライフスタイル研究会著・発行(A4 134ページ)

 『グリエツィ』では毎号スイスライフスタイル研究会の連載を掲載している。第12号(2001年春号)からだから、丸11年になる。最初のテーマは「年金シリーズ」だった。そして、第14号(同年秋号)には、初版『わかるスイスの年金制度』出版案内が掲載された。「是非手元におきたいハンドブック(日本語解説版)」という副題どおり、スイスの年金制度に関して、ちょっとした疑問や分かりにくい問題、専門用語などがあるとすぐに手にとって調べるなど、大変重宝している。あれから、10年の歳月が流れ、「その間、会員の年齢も上がり、すでにAHV年金を受給していたり、夫が年金生活に入った会員も」(「あとがき」)いる。そして、改訂版出版の運びとなった。同研究会では、改訂版に当たって初版より執筆が簡単だと考えていたが、スイスの年金制度も「この10年の間に数字だけでなく、いろいろな面で大きく改訂されてきたため、結局ドイツ語の資料を一から読み直し、大幅に書きかえるという多くの時間を費やす作業」(「改訂版前書き」)になったという。

送られてきたハンドブックは、抹茶グリーンでやさしい。イラストが入り、とても親しみやすさがある冊子になっている。内容面でも、チューリッヒSpidaの年金局計算課のKundig氏の協力を得て作成した老齢年金の受給表をはじめ、豊富な具体例や表が盛りこまれ、より実践的に年金制度が理解できる内容になっている。そして、近年増加の一途を辿る離婚に焦点を当てた「離婚と年金」が独立した一章で解説されている点は、改訂版の特長のひとつだ。きっと、多くの在スイス日本人に役立つ内容になっている。スイスライフスタイル研究会の尽力に心より感謝したい。
今回の改訂版の年金企画責任者、ガナリン裕見子さんは、「あとがき」で「年金問題は複雑ですが、定年は誰にでも必ずやってくるものですから、若い内から関心を持つこと大事です」と強調する。
是非ご家庭に一冊備えておきたい。「備えあれば憂いなし」だ。

値段:A4 136ページ 1冊 CHF38.-
注文先:スイス日本ライフスタイル研究会
sjlifestyle@excite.co.jp
Fax 044 923 68 05 (Durrer 美和)

日本の震災支援で集めた支援金の集まった額を公表する場がないのですが…

東日本大震災の被災地・被災者への支援は、継続して息長く続けていく活動ですが、『グリエツィ』前号で「募金活動の諸注意」を案内し、第4点として、「集まったお金は必ずなんらかの形で公表しましょう」と紹介しました。ただ、公表すると言っても、そういう場がなかなか見つからない、という読者からの相談がありました。公表する場所がない団体が利用できるように「スイスのまちかど支援運動」の会計報告の場としてホームページを提供してくれる方がいます。提案して下さったのは、5月30日に東日本大震災被災者支援コンサートを実施した実行委員会(田崎麗代表)。必要な方は、是非ともご利用下さい。以下の条件を満たす団体・個人にご利用いただけます。下記情報を準備し、下記E-mail 宛てお送り下さい。

(1)スイス国内の募金活動
(2)個人あるいは個人グループ(中小企業や小規模市民団体が多少入っても可)の自主的なもの
(3)不特定多数を対象にした募金活動(募金・チャリティーコンサート・バザーなど)
(4)活動をした日時
(5)活動場所
(6)募金活動の形態(街頭募金・チャリティーコンサート・バザーなど)
(7)主催団体あるいは責任者名・連絡先
(8)集まった額
(9)差し引き経費額
(10)送金先の組織名(日本赤十字など)
(11)送金額
(12)送金証拠(赤十字からの領収書、銀行送金のスキャンなどをPDFで)

 送付先: info@japan-tsunami-concert-2011.ch (タイトルはアルファベット表記で)
 上記内容を、www.japan-tsunami-concert-2011.ch/Charity.htmに掲載してくれます。

 なお、掲載は無料ですが、同実行委員会は、「正確性については、一切責任はもちません」。さらに、「不適当と判断したものは掲載をお断りすることもあります」とのことです。

日本の被災者・被災地支援 募金活動の注意点◇(第53号、2011年春号)

各地で被災地・被災者支援の活動、特に日本から遠く離れるスイスでは義援金を集める活動が各地で行われています。取り組みの中から、その募金活動をする上で注意すべき点が分かってきました。いくつか留意点をご紹介しましょう。

1. 街頭で募金活動をするときには、事前に必ず地元警察か市町村役場に届けて許可を取りましょう。市町村によって規則が違いますので、複数の市町村で募金活動をする場合は、各市町村の警察か役所に届けましょう。

2. 届けるとき、団体名、代表者名等を明記する必要があるので、できるだけ募金活動をする時にグループ名を決め、代表者を明確にしておきましょう。
 そして、可能ならば、どの組織(たとえば、スイス赤十字社、 Glueckskette / Chaine du Bonheur / Catema della solidarieta、日本赤十字など)に送金するのかを事前に明らかにしておくとよいでしょう。

3. スイスでは、募金した金額は確定申告の時の課税控除の対象になります。募金してくれる人の中には、そのため「領収書が欲しい」という人がいます。
 募金活動をする団体として領収書を用意できればいいですが、それができない場合には、振込可能な銀行口座、郵便口座のチラシを用意しておき、領収書を希望の人には振込で募金に協力してもらうよう案内するといいでしょう。(振込口座案内は5ページ参照)

4. 集まった義援金は、複数の人で金額を確認しましょう。そして、必ず何らかの形で公表しましょう。

日本から海外への番組転送問題(朝日新聞2011年1月19日号より抜粋) (第53号、2011年春号掲載)

『グリエツィ』第46号(2009年夏号)で 「J Network Service社営業停止について」(p. 16)の案内を出しました。その後、インターネットを通じて転送する業者のサービスが著作権法に違反するかどうかが裁判で争われ、本年1月18日に最高裁が、適法とした一審、二審判決を破棄して、著作権法違反とする判決を言い渡しました。以下、朝日新聞の2011年1月19日付け報道および解説を紹介します。(『グリエツィ』編集部)

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 「日本のテレビ番組を海外在住者にインターネットを通じて転送する業者のサービスが著作権法に違反するかが争われた訴訟で、最高裁第三小法廷(田原睦夫裁判中)は、今年1月18日、適法とした一、二審判決を破棄して、同法違反とする逆転判決を言い渡した。業者がテレビ局に支払う損害額などを改めて審理させるため、知財高裁に差し戻した」

 <解説>最高裁と一、二審が正反対の結論を出したのは、番組を転送している主体が誰なのかで判断が分かれたからだ。一、二審は転送しているのは個人の利用者で、業者の役割は補助的なものと認定した。最高裁は、番組転送をしているのはあくまでも業者である、と認めた。著作権法は、著作物の私的利用の自由を認めている。今回問題になった番組転送も、個人が自宅から海外赴任先に自分で転送するのは合法だ。デジタル技術とネットの発展で誰もが番組などを世界中に配信できるようになった。訴訟について、ある放送局の幹部は「アリの一穴になることが一番怖かった」ともらす。最近、話題を集めた、個人の蔵書を電子化する「自炊」の代行業を出版社などが問題視するのも私的利用のため作られた電子本が広く流通することを恐れたからだ。デジタル時代の現実を危惧し、最高裁は私的で自由に利用できる範囲を厳しく認定したといえる。

(朝日新聞の解説より)

長くスイスに住み、仕事をしてきましたが、事情があり日本に帰国しました。スイスに住んでいる間に掛け続けたAHV/AVSは、どうなるのでしょうか。

AHV/AVSの受給資格について、『わかるスイスの年金制度 - 是非手元におきたいハンドブック(日本語解説版) -』(ライフスタイル研究会編集、2001年6月、14?15ぺージ)を参考に簡単に紹介しましょう。 まず、スイス国籍の所持者の場合。年金受給を始めてからであれば、どの国に住んでもその国で年金が受給できます。 次に、外国人でAHV/AVSを掛けてきた人の場合、スイスとの間で社会保障協定を結んでいる国の国籍所持者の場合、出身国に住んでいてもスイスの年金が受給できます。 協定を結んでいない国の国籍所持者(※日本は、現時点ではこれに該当します。)の場合、スイスを離れると年金受給資格を失います。ただし、それまで支払ってきた掛金総額の還付請求ができます(本人と雇い主の払った分の総額、ただし利子なし)。

必要な条件は、下記の通りです。

*年金掛金を最低でも12カ月支払っていること。
*本人および家族全員(夫婦と25歳以下の子供)がスイスを離れてからまる1年以上が経過していること

外国人専用の年金事務所(ジュネーヴ)宛に還付請求手続きをします。同事務所が用意している書類は独・仏語ですが、希望すれば英語版も送ってくれます。
手続きに必要な書類は以下のものです。

*スイスを離れた日付が入っている書類
*AHV/AVSの個人カード(スイスを離れる時に必ず持って帰ること)
*国籍を証明するもの(パスポートのコピー)
*現住所の公式証明
*独身あるいは結婚証明書
*離婚している場合は離婚証明書

外国人専用の年金事務所
Caisse suisse de compensation CSC
Av. Edmond-Vaucher, 18
Case Postale 3100
1211 GENEVE 2 / Suisse
Tel : +41 (0)22 795 91 11
Fax : +41 (0)22 795 97 05

 フランス語のサイトを案内しますが、このサイトから独・伊・英語・スペイン語の各ページにアクセスできます。
http://www.zas.admin.ch/cdc/cnc3/cdc.php?site=100 (仏語)

※なお、現在日本政府とスイス政府の間で「社会保障協定」締結の交渉が進められています。
 この「社会保障協定」に関しては、日本政府社会労働省のホームページでご覧いただけます。
協定についての説明と合わせて、既に協定が締結され、制度化されている国、現在交渉中の国などが紹介されています。ご覧下さい。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/shakaihoshou.html

シェンゲン協定って何?

シェンゲン(Schengen)協定とは、ヨーロッパで、共通の出入国管理政策及び国境システム導入することを取り決めた協定のことです。具体的には、EU加盟国(ただしアイルランドとイギリスを除く)とEU非加盟のスイス、リヒテンシュタイン、アイスランド、ノルウェー、の29ヶ国が協定に調印し、現在までに25ヶ国が協定を施行しています。このシェンゲン領域内では、国境の検問所が廃止され、パスポートチェックも行われません。スイスでは、2008年12月12日以来陸路で、2009年3月29日以来空路でもこの協定が施行されています。そのため、シェンゲン領域の外から入ってくるときに、一度パスポートチェックが行われれば、同領域内でのパスポートチェックは行われない仕組みになっている。 シェンゲン領域から領域外に出国するときも、考え方は同じで領域外に出る時だけ1回パスポートチェックが行われます。そのため、シェンゲン領域内の出身者は、問題ないものの、シェンゲン領域外の出身者で、同領域内に居住する者はIDカードや滞在許可証など所持して旅行することが必要となる訳です。(9ページの「冷や汗をかいた体験!」を参照) なお、シェンゲンはルクセンブルクにある小さな町で、フランス、ドイツに接ています。1985年6月14日に初めて協定が調印された場所です。

スイス居住の日本人はスイスから出かけるときにはかならず外国人登録証を持参しましょう。

昨年(2008年)から施行されているシェンゲン協定に伴い、パスポート(旅券)チェックのシステムが変わっています。バーゼル在住の元バーゼル日本人会会長鈴木伸二さんが、ご自分の経験も踏まえ、出入国に注意すべきことを投稿してくれました。(編集部)

昨年12月にスイスもシェンゲン協定に加盟し、今年2009年から陸上での国境旅券検査は基本的にはなくなりましたが、空路出入国する場合にはかなりの変化が見られます。たとえば、スイスに空路入国する場合には、昨年暮れまでは日本人はいとも簡単に空港検査がなされ入国できました。つまり、場合によっては日本旅券の表紙をちらっと見ただけで旅券にはなにもスタンプを押されることもなくそのまま通過することもできました。さらに、片言の日本語でのサービスのおまけまでつくことがありました。ところが、今年からはそのような簡単な入国事情が変わり、出入国のたびに旅券をくまなく調べられ、スタンプを押されることになります。ご存じかも知れませんが、シェンゲン協定発足後には日本国籍の人がスイスを含めたシェンゲン協定国に入国する場合、6ヵ月間で3ヵ月=90日以内の滞在であれば、シェンゲン・ビザの取得は不要なのです。したがって、日本人に対して入国ビザが不要なほとんどの国は従来通り出入国に際しては旅券に毎度スタンプを押されることには変わりがなく、むしろ今まで旅券に毎度スタンプを自働的に押さなかったスイスは例外でもあったのかも知れません。

しかし、このような従来の簡単な状況が今年からかなり変わり、スイス居住の日本人で外国人登録証を持っている人は、スイスを出入国する際には外国人登録証を提示しないと、日本の旅券にスイスでの出入国のスタンプを押されることになるのです。たとえば、スイス居住の日本人が今年以降久しぶりにスイスから国外に旅行するような場合、出国の際もしスイスの外国人登録証を提示しないとスイスの空港で旅券に出国スタンプを自動的に押されてしまいます。しかもその場合どのような面倒が起るのかと言いますと、出国時に空港の出入国審査官が旅券をくまなくめくってスイスへの入国のスタンプが見つからないので(去年までにスイスに入国した日本人の場合これは当然)、ほとんどの場合、スイスにいつ入国したのですかと聞かれます。つまり、シェンゲン協定にスイスが加盟した結果、ドイツとかフランスの空港での入出国検査と同じことがスイスでも自動的に行われることを意味しています。この時点でもし外国人登録証を示さないとスイスに居住していることを証明する手段がなく、理論的にはスイスに違法滞在扱いにもなりかねず、面倒になるかも知れません。したがって、入国時も同じで外国人登録証を示さないと入国のスタンプを押されることになります。この入国のスタンプが押されてしまうと、次回にスイスから再びスイス国外に旅行するとき、もし出入国審査官がスイス入国スタンプを見つけて、しかもそれが90日以上も経っていると理論上はスイスに違法滞在していたことになり、問題になる可能性があるのです。ですから、これからはスイスから空路出かけるときはかならず外国人登録証を旅券と一緒に出入国審査官に提示することをお勧めします。もちろん、スイスに戻ってくる時も同じです。このような変化は誰も教えてくれず、また大使館もそのような事情には全く疎くスイス在住の日本人に対しての広報はまったくゼロです。なお、陸路、たとえば車でスイス国外に出かける場合にも念のため外国人登録証を持参することをお勧めします。と言いますのは陸路でも時々国境で旅券の提示を求められることが抜き打ち的に行われる可能性があるからです。しかも、運が悪く国境の係官が新米でその後ろに古参の係官が立って指導しているような状況のときにはたとえスイスの車を使っていても旅券の提示を求められることがあり、外国人登録証を持っていないと空路の場合と同じことが起こる可能性があるのです。

スイス・日本自由貿易協定・経済連携協定で個人レベルの持ち込みはどうなるのでしょうか。

 前号、前々号で、スイスと日本の自由貿易協定・経済連携協定が締結されたことが載っていました。このことで、スイスと日本の通商が以前よりもずっとスムーズになるとありました。スイスとEUの協定に沿って、日本から持ち帰った生鮮食品や農水産食品(加工品を含む)の持ち込みが個人レベルでは禁止されてきましたが、今回の自由貿易協定・経済連携協定によって、緩和されるようになるのでしょうか。

その点を在スイス大使館領事班に問い合わせてみました。自由貿易協定・経済連携協定に関しては、あくまで通商レベルの協定で、日本への一時帰国などの際の個人持ち込みは、もちろん対象外とのことです。ただ、ご指摘の生鮮食品や農水産食品(加工品を含む)の持ち込みに関する制限については、本年5月1日から制限の内容が変更されており、魚介類、蜂蜜、卵などの生鮮食品の持ち込み規制が緩和されています。これは、あくまで<個人使用>に限定された内容ですが、諸条件については「連邦獣医局」(Bundesamt fur Veterinarwesen/Office veterinaire federal /Uffici federale di veterinaria)のサイトに説明されていますので、ご覧下さい。

http://www.bvet.admin.ch/themen/01614/01886/index.html?lang=de
独・仏・伊・英語でサイトを見られます。

*EU圏内とEU圏外に分けて条件が説明してありますので、ヨーロッパを旅行したときに持ち帰りたい生鮮食品などについても参考になります。

なお、回答には、在スイス日本大使館領事班発行の「領事マガジン第27号」(2009年6月8日発行)を参照しました。
『領事マガジン』に関する問い合わせは、在スイス日本大使館領事班までどうぞ。
在スイス日本大使館ホームページ:www.ch.emb-japan.go.jp
領事業務に関するお問い合わせ:ryojihan@bluewin.ch

「スイスの銀行の守秘義務って何…」

アメリカ司法省は、UBSがアメリカ富裕層2万人の約200億ドルの脱税を幇(ほう)助したとして、2008年6月にUBSを告訴していました。そして、2月18日に最後通牒を突きつけられたUBSは、スイス連邦政府とFinma(スイス金融監督当局)の承認を受け、アメリカ人顧客250人のデータを開示し、7億8000万ドルを支払うことで事態を解決することになりました。ところが、その数時間後アメリカ司法省は、さらに5万2000人のデータ引き渡しを要求するという事態になり、スイスの政界、経済界が大揺れに揺れました。 さらに追い打ちを掛けるように、主要20カ国会議(4月2日予定)が脱税天国ブラックリストを作成し、その中にスイスを含めるという情報が流れ、銀行守秘義務のテーマがここ1カ月半の間、主要なニュースになっています。 ところが、この制度そのものについてあまりよく理解していないためか、何が大きな問題になっているのかよく分かりません。

スイスの銀行守秘義務の問題は、古くて新しい問題として、スイスが1934年にこの制度を法律に明文化し、罰則規定を明記して以来、繰り返し問題になってきました。 しかし、UBS問題が引き金となった今回は、250人に上る顧客の情報が実際に開示されたという点で、それまでとは根本的に違っています。
世界規模の経済危機に直面する中で、資産隠しの問題が通常以上に大きく取り上げられ、世界主要20カ国が経済危機を乗り越える対策の会議で、スイスの銀行守秘義務に対して、厳しい圧力が掛けてきました。 こうした圧力の前に、スイス連邦政府は専門委員会を設置し対応を検討してきました。3月13日、連邦政府は、従来から「脱税」と「税金の申告漏れ」として法的に区別してきた考え方を、外国居住の納税者に関しては、考え方を一本化することを決定しました。そして、個々の具体的なケースで脱税行為が明確になった場合、口座名義人のデータを開示することを含め、当該国の税務当局に協力する方向を明示しました。ただし、スイス国内に住む人の銀行口座については、プライバシー保護の観点から引き続き銀行守秘義務が維持されることになっています。

この一見同じことのように理解できそうな「脱税」と「税金の申告漏れ」はどう違うのでしょう。私たち外国人には非常に分かりにくい部分です。この問題をもう少し掘り下げてみましょう。

「脱税」= Steuerbetrug(独語)/ Fraude fiscale(仏語)/ Frode fiscale(伊語)
税金を逃れることを目的に添付書類を偽造したり、徴収されるべき税を、自己もしくは第3者の利益に資するために着服することを指して「脱税」と呼び、刑事上の犯罪として処罰の対象になっています。

「税金の申告漏れ」(税減らし) = Steuerhinterziehung(独語)、Soustraction d'impot(仏語)、Sottorazione d'imposta(伊語)
故意または不注意に、支払うべき税を納めなかったり、一部を支払わないこと。これに対しては、行政罰が科せられるだけです。通常、この罰金額は申告し漏れた税に等しい額ですが、情状により軽・重があります。特に税務当局が気づく前に申告漏れの税を支払えば、その罰金額は大幅に軽減されます。独和辞典でSteuerhinterziehungを引くと「脱税」とあります。Soustraction d'impotをフランス語で「Evasion fiscale」とも言いますが、これも仏和辞典を見ると「脱税」と訳されています。しかし、スイスでは、この「脱税」と「税金の申告漏れ」は法的に区別されているのです。ここのところが、スイスの銀行守秘義務に関わって、素人にはわかりにくいところですね。 「脱税」は刑法に関わる犯罪、「税金の申告漏れ」は犯罪ではないという訳です。従って、銀行は犯罪でないものを銀行側から税務当局に通報する義務を負わない訳です。外国人口座についても、税務当局から「脱税」の証拠が示されたり、請求されても、スイスの法律に従って「税金の申告漏れ」と判断されれば、スイス銀行は守秘義務を守り、預金者の情報を開示することはない訳です。EU(欧州連合)およびOECDの立場では、「脱税」と「税金申告漏れ」には区別がなく、どちらも「脱税」として扱われています。今回、4月2日の20カ国首脳会議を前にスイスの名前を税金天国ブラックリストに載せるという圧力を掛けることによって、スイス銀行の守秘義務にくさびを打ち込むことがEU側のねらいでしたが、3月12日にはアンドラ、リヒテンシュタイン公国およびベルギーがOECDの基準に沿って、脱税対策で他国と協力する立場を鮮明に打ち出しました。その直後の3月13日、スイス連邦政府は歴史的な決断を下すことになりました。

スイスは、1986年マルコス元フィリピン大統領の口座を凍結したのをはじめ、外国人政治家の資金凍結をしてきました。さらに、マネーロンダリング(資金洗浄)が広がる中、1998年の資金洗浄規制法を施行し、預金者の身元をきちんと把握するなど、犯罪に結びつく預金等の予防対策も強化しています。さらに、EUとの関係では、第2次バイラテラル協定で、EU居住者の預金利子に課税し、その75%をEU居住国に配分し、残りの25%をスイスの税収とすることが取り決められるなど、銀行の守秘義務を死守しながら、妥協点を探ってきました。しかし、「脱税」と「税金申告漏れ」の区別がなくなることによって、銀行守秘義務が実質骨抜きになっていくというのが大方の観測筋の見方です。金融業がスイスの国内総生産(GDP)に占める割合は、約12%と言われています。今後、このスイスの銀行守秘義務という大黒柱が揺らぐことで、スイス経済に及ぼす影響は、はかり知れません。今後、世界的経済危機・不況が長引くことになると、スイスの銀行守秘義務に対する圧力はさらに厳しくなるに違いありません。専門家の中でも先行きの見通しに大きな違いがあります。「金融業の規模は現在の半分ぐらいになる可能性がある」という悲観的見方から、「スイスは、政治的・経済的に安定しているから、銀行守秘義務が解かれても、スイスの金入業界は十分に生き延びられる」という見方まで様々です。
今後の動向を引き続き注目していきたいですね。

◇参考文献◇
スイスの銀行守秘義務について説明してある日本語の本を紹介します。いずれも過去3年ぐらいの間に出版され、『グリエツィ』でも紹介しました。著者によって「スイスの銀行守秘義務」に関する評価が違います。

『黒いスイス』福原直樹 著、2004年3月刊、新潮新書、ISBN4-10-610059-2
『ブランド王国 スイスの秘密』磯山友幸 著、2006年2月刊、日経BP社、ISBN4-8222-4501-2
『ヨーロッパ読本 スイス』森田安一、踊共二編、2007年11月刊、河出書房新社、ISBN978-4-309-61903-3
*なお、『ヨーロッパ読本 スイス』は、『グリエツィ』編集部に在庫があります。20.-CHF + 送料(6.- CHF)です。ご希望の方は、『グリエツィ』編集部宛、お申し込み下さい。

◇スイス国鉄 値上げを見合わせ(2009年3月5日)(2009年春号、第45号掲載)
スイス国鉄(SBB/CFF/FFS)および公共交通連盟(VOV/UTP)は、現在の経済情勢に鑑み2009年12月に予定していた値上げを見送ることに決定。
スイス連邦国鉄のサイト http://www.sbb.ch/ 
※このサイトから、Medienを選ぶと値上げ見送りのプレス・リリースが載っています。
スイス公共交通連合のサイト http://www.utp.ch/index_fr.html

◇スイス郵便料金の値下げと据え置き(2009年3月24日)(2009年春号、第45号掲載)
スイスPostは、手紙料金の実質値下げ、4月1日から予定していた国内・国際小包料金の値上げを1年間延期することを決定。
連邦政府は、2009年7月1日以降、50g以上の郵便物の自由化することを決定したが、その結果50g以上の郵便物には、付加価値税(MWST/TVA)7.6%が上乗せされることになる。しかし、スイスPostは、この付加価値税を上乗せず、従来の料金に含めるため、実質の値下げとなる。さらに、スイスPostよると、100g?1 kgまでの大型郵便物の場合、20%程度の値下げとなる。詳しくは、スイスPostのサイト(http://www.poste.ch/de 独・仏・伊・英語)のトップページでご覧下さい。このページのNewsの項を見ると、3月24日付けのインフォに、このテーマの解説が載っています。新しい料金表もダウンロードできます。

日本からスイスに小包を送るときはご用心!

1年の予定でスイスに滞在しているKさん。日本の実家から小包を送ってもらったところ、配達時に法外な料金を請求され驚きました。いろいろ調べてみると、日本からの発送時に書き入れる内容品の価格を実際の価格より大幅に高く記載していたことが原因だとわかりました。

Kさんに事の顛末を話してもらいました。

「妻の実家から衣類、食品、コンタクトレンズの洗浄液などを2箱に分けて送ってもらいました。ところが、配達時に、1個目(8 kg)90.70 CHF、2個目(13.2 kg)105.25 CHFの請求をされました。今までそんなことがなかったので、驚いて支払いを拒否したところ、小包を持ち帰ってしまいました。その後の調べで、妻の実家が「内容品の価格」を1箱あたり6万円以上で記載したことが判明し、その当時のレートをもとに課税額を試算してみたところ、ほぼ間違いなく関税だと分かりました。そこで、そのままにしておくと小包が日本に送り返されてしまうか廃棄処分にされてしまうので、その料金を一端払って、小包を受け取りました。海外への発送になれていない日本の家族が間違えて新品価格で記入してしまったこと、実際の価格はそれぞれの小包で100 CHF程度であることを盛りこんだ手紙を添えて、払い戻し請求をクレーム処理係りに送りました。3週間して、郵便局から「再検討の結果、あなたの郵送物に対する課税は正しく行われており、払い戻しはできません」との返事が届きました。「関税の算定に際し重要なのは、発送者が記載した金額であり、後で訂正した申告は無効である」といったのが返信内容でした。このKさんの苦い経験に学び、日本から小包を送ってもらう時には、「内容の価格」欄への記載には、<購入時の値段などは書かず、できるだけ送料も含めて100フラン以内(現在のレートで8000円程度)で記載>し、<新品のものは包みを解いて入れる>など注意して送るようにするのが無難なようです。ちなみに、郵便物に対する課税業務は2007年5月から税関でなくスイス郵便が行うことになり、昨年末で移行期間が終了し、今年1月からは完全に郵便局業務となっています。最近、課税される小包が増えたように感じますが、そういう事情もあるのかもしれません。


前号の「日本・スイス自由貿易・経済連携協定 大筋で合意」を、ある種の期待を持って読みました。もしかしたら、AHVその他の年金を日本で受け取れるような制度についても討議されたのではと思ったのですが。最近スイスに住む日本人も随分増えています。二重国籍同様、討議されてもよい頃ではないかと思うのは私だけでしょうか。 これは、何と呼ばれる協定で、日本のどの省で取り扱われるのでしょうか。

 現役から引退した後の、年金受給に関しては、大変大切なテーマですね。これだけ海外在住者が増えている現在、二国間での社会保険・年金に関する協定の締結は急がれます。この協定のことを「社会保障協定」と呼び、「年金二国間協定」とも一般的に表現されているようです。そして、日本では厚生労働省が管轄し、社会保険庁が実際の業務を行っていると思います。特に、インターネットの検索エンジンで「社会保障協定」をキーワードにして検索すると社会保険庁のサイトで「社会保障協定の目的と概要」というページが見つかります(http://www.sia.go.jp/seido/old-kyotei/kyotei01.htm)。

さらに、厚生労働省のサイトでは最新の情報がご覧いただけます。「社会保障協定」を締結する目的は、基本的に「二重負担の防止」「加入期間の通算」の2点です。スイスとはまだこの協定が締結されていません。従って、スイスに派遣されいる人、駐在する人、あるいはスイス永住者で、日本の年金を掛け続けている人などは、日本とスイスで年金を含む社会保障制度を二重に負担している場合があります。こうした「二重負担を防止する」のが、この社会保障協定を結ぶひとつの目的です。さらに、滞在期間が短い場合など、折角掛けた保険料が掛け捨てになるといった場合も生じます。こうした問題を解決するために、日本とスイスで加入している年月を通算することで、掛け捨てが起こらないようにすることが2つめの目的です。

厚生労働省の資料では、日本と社会保障協定を結んでいる国はドイツ、イギリス、大韓民国、米国、ベルギー、フランス、カナダの7カ国です。そして、オーストラリア、オランダ、チェコとは協定署名済み。スペイン、イタリアとは政府間交渉中、さらに、アイルランド、スウェーデン、ハンガリー、ルクセンブルグとともにスイスは、予備協議中とあります。しかし、社会保障制度というのは、それぞれの国でかなり違っていることから、制度そのものの相互理解を前提にして個別協議を積み重ねていかないといけないため、かなり時間が掛かるのが現状だろうと思います。ですが、スイス在住者が7000人を越えている現状から言って、日本の国民年金とスイスのAHVを二重に掛けている人は急増していることが十分予想されます。社会保障協定実現のための協議が実質的に進み、協定が早期に結ばれることを期待したいですね。

このスピードを速めるようにするには、スイス在住日本人コミュニティーから厚生労働省、社会保険庁さらに在スイス日本大使館大使宛て、積極的に働きかけることが大切なことだと思います。(の)

私は、日本の国民年金をずっと積み立てています。もう少しすると受給対象年齢に達します。そこで、現在の状況等を詳しく知りたいのですが、どこに問い合わせをするのが一番いいのでしょうか。

海外居住者の国民年金加入については、以下のようなガイドラインが出ています。

(1)現在、スイスに住んでいる人は、日本国内における最後の住所地を管轄する社会保険事務所が窓口になります。(2)日本国内に住所を有したことがない人は、千代田社会保険事務所が窓口です。(3)そして、2007年6月まで日本国民年金協会を通じtえ諸手続を行っていた人も千代田社会保険事務所が窓口です。
千代田社会保険事務所 海外居住者照会専用 Tel +81 (0)3 3265 4389、E-mail : kaigai@sia.go.jp

私は、スイス国籍を持っていません。 近い将来日本に戻るつもりでいますが、その場合、これまで掛け続けてきたAHV/AVSは受給できるのでしょうか。

将来の年金受給の問題は、大変切実な問題ですね。ちょうど在スイス日本大使館領事班が発行する「領事マガジン第21号(2008年9月20日発行)にこのテーマが扱われています。スイス連邦移民局発行の「スイスの保険システム」とスイスライフスタイル研究会が発行している「わかるスイスの年金制度」を参照しながら、解説していますので大変訳に立ちます。この領事マガジンの購読希望の方は在スイス日本大使館のホームページから申込みするか、村上領事宛(takeshi.murakami@mofa.go.jp)申込みできます。結論から言いますと、日本に帰って年金の受給することはできませんが、スイスを離れる際に、積み立ててきたAHV/AVSの掛金は全額、返金手続きができます。ただし、すでに年金を受給している人は、積立額から既に受給した年金額を差し引いた額の返金になります。手続きには、年金事務所で必要書類を入手し、スイスを離れることを証明する書類などの準備が必要になります。スイス連邦移民局のウェブサイトから、スイスの社会保障制度の説明、外国人としてスイスを離れる際の権利等について説明されたパンフレットをダウンロードできます。

企業年金(第2の柱)についても一時金として返金を受けることが可能なはずですが、これは、各企業でその具体的な運用方法が違うと思います。具体的には、企業の年金担当者にお尋ね下さい。

■ 滞在許可(B-Permit、C-Permit)を持っている外国人は、労働許可申請が不要。

2006年9月24日の国民投票で「新外国人法案」が約68%の賛成で承認されました。そして、外国人人数制限に関する政令(BVO/OLE 823.21)に代わり、今年1月1日からこの「新外国人法」(AuG/LEtr)が施行されています。新しい法律の目的は、スイス人およびEU/EFTA出身者の滞在・労働許可を優先するもの(ただし、EU/EFTA圏外からの専門職・研究者等は例外)ですが、同時に、スイス人と結婚している外国人や滞在・労働許可証をもつ外国人の家族などの場合には、労働市場に従来よりも参入しやすいように規定を簡略化しているのも特徴です。その結果、滞在許可証を持つ外国人の場合、従来、雇用主を通じての労働許可申請をする必要がありましたが、その手続きが必要なくなりました。雇用主にとっても、仕事を探す側にとっても、手続きが簡便になっています。


昨年12月12日に行われた、スイス連邦内閣の閣僚選挙で、現閣僚でもなく先行した国民議会議員選挙でも選出されたわけでもないエヴェリン・ヴィドマー・シュルンプフさんが選挙で指名され、当選しました。スイスでは、立候補しなくても、選ばれることがあるのでしょうか。
よく分かりません。

昨年12月12日に行われた連邦内閣選挙では、現職大臣が同じ出身政党の対立候補(といっても、本人は立候補表明していなかった)との決選投票の結果、落選するという「大波乱」が起きました。クリストフ・ブロッヒャー氏の大臣ポストの選挙に際し、第1回投票で、同じスイス国民党(SVP/UDC)のグラウビュンデン出身のエヴェリン・ヴィドマー・シュルンプフ氏の得票が、ブロッヒャー氏の得票を上回り、その結果、決選投票となり、ヴィドマー・シュルンプフ氏が過半数を獲得し、当選するという結果となったものです。

国会議員でもなく、立候補もしていない人が当選する、というのは、私たちが知っている議会制度、選挙制度では少々奇異に感じますが、実は、これはスイスの連邦憲法と議会法でしっかり定められている合法的なことです。連邦内閣選挙は、以下のような手順で行われます。

連邦内閣の選挙は、通常4年に1回総選挙の後に、国民議会と全州議会の全議員で構成される両議会議員総会(die Bundesversammlung / L'Assemble generale / l'Assemblea federale)が招集され、実施されます。連邦内閣の選挙については、連邦憲法第143条と第173条、および議会法(Parlamentsgesetz /Loi sur le Parlement / Legge sul Parlamento)第130条、第134条に基づいて実施されます。連邦憲法第143条では、連邦内閣の選挙で誰が被選挙権を有するかが明確に規定されています。「被選挙権を有する、すべてのスイス国民は、連邦大臣職に選ばれる権利を有する」とあり、両議会議員総会での選挙では、被選挙権を有するスイス国民(18歳以上)の誰を記名しても良いことになっています。そして、全議員総会に関する法律では、選挙の方法が具体的に規定されています。全文をそのまま紹介しましょう。
 

第130条 原則
1. 両議会議員総会の選挙は、秘密投票で行われる。
2. 有効投票数の過半数で選出される。
3. 白票、無効票は、過半数の計算に際し、考慮されない。
4. 過半数を獲得した候補者数が、予定議席数を上回った場合、得票の少ない者から落選となる。

第2章 連邦内閣選挙
第132条 
1. 国民議会選挙が行われた直後の国会で、連邦内閣選挙が行われる。
2. (略)
3. 最初の2回の投票までは、各議員は誰にでも自由に投票できる。3回目の投票以降では、新たな候補者を記名できない。
4. 以下の候補者は落選となる。
     a. 第2回目以降の投票で、得票数が10票未満の者
     b. 第3回目以降の投票で、最も得票数の少ない者。ただし、複数の候補者が同数の場合はその限りではない。

選挙は、大臣ポスト7名について、歴任している年数の長い順に、ひとつひとつの大臣職について投票が行われます。
そして、過半数の得票を得る候補者が決まるまで、投票が繰り返されます。

以上のような事情で、ヴィドマー・シュルンプフ氏が選出されたことは、非常に珍しいケースですが、スイスの法律に照らして、合法的なことです。
しかし、立候補を表明していなかった人が選ばれた場合、その人が大臣を引き受けるかどうかは、本人の判断に委ねられます。辞退することも予測されますが、今回の場合、ブロッヒャー大臣引き下ろしの駆け引きの中で選出されたヴィドマー・シュルンプフ氏が大臣職を引き受けるかどうかは、非常に注目されました。ヴィドマー・シュルンプフ氏は、熟考期間を要求し、最終的に選挙結果を尊重しました。熟考期間中、全議員総会は休会され、決定を受けて、大臣就任の宣誓式が行われました。

◇2008年スイス連邦国民議会選挙、全州議会選挙、連邦内閣選挙の結果

政党勢力
得票率 議席数 対2003年増減
国民党(SVP/UDC):29% (対2003年+2.3%) 62議席 ( +7 )
社会民主党(SP/PS):19.5% (-3.8% ) 43議席 ( -9 )
急進民主党(FDP/PRD):15.6%(-1.7%) 31議席 ( -5 )
キリスト教民主党(CVP/PDC):14.6% (+0.2%) 31議席 ( +3 )
緑の党(Grune/Les Verts):9.6% (+1.7%) 20議席 ( +6 )

全州議会選挙
全州議会選挙は、10月21日の投票で過半数に達した候補者のいなかったチューリヒ、ザンクトガッレン州で、11月25日に決選投票が行われ全議席が決定した。

全州議会の議席
国民党 7議席
社会民主党 9
急進民主党 12
キリスト教民主党 15
緑の党 2

連邦内閣選挙の投票結果
2007年12月12日の連邦内閣選挙では、7人の現閣僚中、6人が順当に再選したが、ブロッヒャー大臣(スイス国民党、SVP/UDC)は、氏の再選を阻む社会民主党やキリスト教民主党の工作が功を奏し、同党のヴィドマー シュルンプフ氏と決選投票に持ち込まれ、敗北するという大波乱があった。
選挙結果は以下の通り。

モリッツ・ロイエンベルガー環境・運輸・エネルギー・通信相(社会民主党、1995年就任) 157票
パスカル・クシュパン内務相(急進民主党、1998年就任)205票
サムエル・シュミット国防・国民保護・スポーツ相(国民党、2001年就任) 201票
ミシュリン・カルミ・レ外務相(社会民主党、2003年就任) 153票
クリストフ・ブロッヒャー司法警察相(国民党、2004年就任) 115票、落選
ハンス・ルドルフ・メルツ財務相(急進民主党、2004年就任) 213票
ドリス・ロイタルト経済相(キリスト教民主党、2006年就任) 160票
エヴェリン・ヴィドマー・シュルンプフ(国民党、2007年就任) 125票

2008年の大統領にはパスカル・クシュパン大臣、副大統領ハンス・ルドルフ・メルツ大臣が承認され、内閣事務総長には、コリナ・カサノヴァ(キリスト教民主党)氏が再選された。

2007年7月1日からEU諸国以外からスイスへの肉、魚そして乳製品の持ち込みが禁止されたと聞きます。日本に一時帰国した時に、持ってきたものが、空港の税関で没収されたりすることが実際に起こっていると聞きます。どうしてこんなことになっているのでしょうか。

在スイス日本大使館領事班の領事マガジン第9号で、この件について説明が出ています。簡単に引用してみましょう。「現在、EUには動物疫病の危険を阻止するため、EU諸国以外からの動物性食品の持ち込みを禁止するという規制があり、スイスもこれに横並びするような形となった訳です」。そして、「具体的には、魚、卵、牛乳及びそれらを原料とした製品、肉・魚の缶詰、削り節、煮干し、蜂蜜などが対象となる」そうです。 肉・魚を原料とした製品とはどこまでを指すのか、領事館がスイス連邦獣医局に確認したところ、「外見から肉や魚と分かるもの、例えばしらす、明太子、魚介類の乾燥物、ビーフジャーキーなど」が対象に含まれるそうです。対象外の物としては、醤油などの液状物、味の素など粉末状の物があります。 領事マガジンでは、輸入禁止品目かどうか明確でなかった場合、スイスに入国する際に、「申告するものがある」の赤いカウンターを通過し、確認することをすすめています。グリーンカウンターで輸入禁止品目に該当するものが見つかった場合、重い罰金が掛けられる危険があるから、という訳です。

スイスでは、夫婦の姓をどのように決めているのですか。夫婦の別姓は可能なのでしょうか。
(2007月7月、第38号掲載)

現行のスイス民法の中で、夫婦の姓を決定することに関連する条項は4つあります。第160条、第30条、第119条、戸籍法第177条aがそれです。具体的な名前で例を挙げる方が分かりやすいので、夫Muller、妻Dupontとして事例を紹介しましょう。

第160条第1項では、「夫婦の姓は夫の姓とする」とあります(Muller)。そして、妻は、夫の姓の後ろにハイフンを付けて結婚前の姓を付けることができます(Muller-Dupont)。
第2項では、婚約中の女性は、独身時代の名前を維持したいことを申し出ることが可能で、その場合は、自分の独身時代の姓を先に置き、ハイフンなしで夫の名前をつなげる形になります。(Dupont Muller)妻の姓を夫婦の姓にしたい場合には、民法第30条第2項に従って、姓の変更を申請し、カントン政府に対してその正当性を申し出なければなりません。(Herr und Frau Dupont/M. et Mme. Dupont)妻となる女性の姓が発音しにくかったり、その姓が失われてしまう危険がある時などは、正当とみなされます。
夫婦が上記の申請をした場合、夫は、戸籍法第177条aに従って結婚前の姓を保持したい希望を戸籍係に申し出ることができます。そのときは、夫自身の名前とそれに続けてハイフンなしで夫婦の名前を並べます。(Herr/M. Muller Dupont)

離婚の場合、民法第119条に従って、結婚時に変えた姓はそのまま持ち続けます。ただし、離婚正式決定から数えて1年以内に、独身時代の姓を使いたい旨を戸籍係に申し出る場合は、その限りではありません。

現在、連邦議会法務委員会で検討されている新しい案
1984年の婚姻法改正の際に、男女平等の考え方が導入され、その見地から夫婦の姓の決定に関する法整備が進められてきました。しかし、1994年2月22日、欧州人権裁判所の決定を受けて、妻の姓を夫婦の姓として選択することを可能にし、その場合、夫自身の名前を夫婦の名前の前に置くことができるように戸籍法が改正されました。民法では、正式には、まだ明文化されていませんが、戸籍法としてこの欧州裁判所の判断に従う法的な対応をしているのが現状です。
1994年以来、更に男女平等により適合した夫婦の姓の決定方法を確定するために連邦議会法務委員会は議論を重ねてきましたが、今年の6月1日新しい改正案が発表されました。そこでは、夫婦はそれぞれ、自分の姓を保持できることに加え、夫婦の姓として夫もしくは妻の姓を選べることになります。現行では、夫は妻の姓を選択できない原則があります。ハイフンを付けた二重姓は廃止になります。しかし、法的には意味を持ちませんが、慣行として、独身時代の名前を、ハイフンを付けて並べることは問題なく行われます。離婚もしくは死別した場合に、独身時代の名前に戻るのに時間的制限はなくなります。子供に関しては、両親は、子供の姓に関して、第1子の誕生までに決定をしなければなりません。意見の不一致がある場合には、子供は母親の(独身時の)姓を引き継ぎます。夫婦は子供の誕生から1年間に別の解決方法を模索する猶予が与えられます。同棲の場合、子供の姓は、母親の独身時の姓が優先されることが原則となります。(例外規定あり)以上の改正案は、今後3カ月間内閣を含む、関係機関での検討が行われ、その後法律案として国会に上程されることになっています。

(参考サイト)
連邦議会プレスリリース2007根6月1日付け(フランス語サイトですが、言語は選択できます)

「夫婦の姓」に関する法制委員会での議論の経緯(ドイツ語サイトですが、言語は選択できます)


国民投票があると、「Roeschti Grabe」という表現をよく耳にします。どんなことでしょう。
(20074月、第37号掲載)


スイスドイツ語圏には、ゆでたジャガイモを2?3日寝かした後にスライスしてフライパンで外側がカリカリと焦げるくらいに焼いた料理があります。これをRoeschti(レシュティ)といいます。このお料理、もちろんスイスフランス語圏のレストランでも食べようと思えばメニューにはあるのでしょうが、ドイツ語圏スイスほどポピュラーではありません。言語と文化というのは、深く結びついていますから、ドイツ語圏とフランス語圏あるいはイタリア語圏の間には、言語はもちろんのこと、文化、メンタリティー、嗜好などの違いがはっきりとあります。特にフランス語圏とドイツ語圏には、ベルン州とヴォー州との歴史的な関係も根深く影響して、ライバル意識と併せて、かなりの文化的、精神的違いがあるようです。その違いをひとつのたとえとして、「レシュティの溝」が引き合いにだされることがよくあります。近年では、それ程極端な形でこの「レシュティの溝」があらわになりませんが、国民投票などの時には、投票動向と言語の境界がはっきり分かる結果になることが往々にしてあります。 そうした「レシュティの溝」が歴然としていると言われながらも、26のカントンがひとつの国として成り立っているところに、スイスという国の不思議がありますね。

ケアチームジャパンの取り組みのひとつにナルク(NALC)の活動がありますね。その内容について、具体的なことを知りたいのですが…
(2007年1月号掲載)


ケアチームジャパンのナルク担当者、神谷未夏さんにNALCの新しくなった点など説明をしてもらいました。そして、利用した方の感想もあわせてご紹介します。(編集部)

スイスナルク支部《新》:スイスでも点を増やせる!
このほど、スイス在住の会員間でのボランティア活動で点数が貯められるようになりました。得た点数は例えばご両親のために日本でも使うことができますし、また自分の老後のために貯蓄しておくこともできます。 

* ナルクの時間預託ポイント制度とは?
一時間につき一点、あるいは500円で、ボランティアによる日常的なサポートが受けられます。
例1:日本の高齢のご家族の身の回りの世話、話し相手、力仕事、庭仕事、送迎など。
例2:(スイスで)ベビーシッター、買い物・家事代行、ドイツ語のサポート(ドイツ語による電話での問い合わせ、通院時の通訳など)

ボランティアによるサポートを受ける方は、一時間につき500円とボランティアの交通費の実費を払っていただくことになります。
ボランティアをする方は、一時間につき1点を得ます。

会員受付・問い合わせ:神谷未夏 kamiya@bluewin.ch
 
以下、ナルクを実際に利用した方からの感想です。
「昨年12月、両親がほとんど同じ頃に入院しました。気になったのは 入院中よりもむしろ退院後です。特に母は退院したら、普段の生活に戻るためにきっと無理をするだろうと思いました。スイスに住んでいる私はそうそう簡単に手伝いに行くことも出来ず、フルタイムで働いている姉にその重みがかかってしまう…。そんな時、以前より耳にしていたナルクに問い合わせをさせていただくと、早速担当の方が日本と連絡を取ってくださいました。年を越して幸い調子の戻った両親は、定期的にお世話になることはありませんでしたが、体力的に自信がなく、気になってもできなかった庭の木の剪定をしていただき、とても喜んでいました。もちろん親にはずっと元気でいてほしいと思いますが、誰でも年は必ずとっていくもの、ナルクの存在は、年老いていく親に海外から何もできずにもどかしい思いをしていた私にとって、「何かできるかもしれない」と思える一歩になり大変感謝しています。」

9月24日の国民投票の際に、AHV/AVSという表現をよく目にしました。スイスの年金制度のことだと思うのですが、分かりやすく説明してください。(2006年10月号掲載)

スイスの年金制度、安心な老後を支える制度は、3つの柱でできています。
第1の柱が、AHV/AVS(ドイツ語Alters- und Hintelassenenversicherun、フランス語l'assurance vieillesse et survivants、イタリア語L'assicurazione vecchiaia e superstiti)です。国が管理する老齢遺族年金で、個人の掛金期間中の総収入額と支払った年数に応じて年金が支給されます。国民すべてに加入が義務づけられ、日本の国民年金に相当すると考えていいでしょう。定年後の最低限の生活を保障していく制度です。

第2の柱は、企業年金(ドイツ語Pensionskasse 、フランス語la caisse des pensions、イタリア語la Cassa Pension)で、原則として就労している人に加入が義務づけられています。第2の柱は、企業年金は定年前の生活水準を維持することを目的にしています。

第3の柱は、個人の任意の貯蓄で、個人がする任意の老後の備え(ドイツ語Altersvorsoge、フランス語prevoyance de vieillesse、イタリア語previdenza vecchiaia)と呼ばれます。定年後の財政的なリザーブを目的として奨励されています。この貯蓄の一部は、税制上の優遇措置があります。ただし、定年退職の5年前以前には、引き出しができないという束縛があります。

この説明には、スイス日本ライフタイル研究会が発行した『わかるスイスの年金制度』を参考にしました。

国民投票でスイスの学校教育制度を統一していくことが可決されましたが、26州(半州を含む)がそれぞれ独自の教育制度を持っているというのは、日本ではあまり考えられません。スイスの学校教育制度について分かりやすく説明してある資料などがどこかで手にはいるでしょうか。(2006年7月号)

連邦制度(Federalismus / Federalisme)と呼ばれるしくみは、日本のように中央政府が強力な政治的力を持った国の出身者にとっては、大変分かりにくい制度です。しかも、その連邦制度が、スイス政治・社会生活で大変重要な役割を果たしていますから、「連邦制度」の意味をしっかり理解することはスイスの生活を理解することに直接つながっていると言えるでしょう。

スイスの教育制度は、つい最近まで本当にカントン(州)の責任で行われる問題でした。春に学年が始まるカントン、秋に始まるカントンと違いがあったり、第2国語の導入の時期やどの言語を教えるかなどもカントンで違います。例えば、ウーリ州では、長い間小学校でイタリア語が教えられてきました。これは、ティチーノ州と隣合わせだという事情や、ティチーノ出身者の比率が比較的高いためだったようです。小学校の期間も4〜6年と違い、cycle d'orientation(初等教育から中等教育への移行期間)の制度があるカントンもあります。そして、中等教育前期の制度は多様な形態があります。

もちろん、各カントンの教育局のサイトを見ると、教育制度についての説明が出ています。連邦政府の公式サイト(www.admin.ch)のトップページで希望の言語を選びます。次のページの左側にカントンのホームページにリンクできる案内があります。そこをクリックし、希望のカントンをクリックしてみて下さい。ドイツ語でBildung、Erziehung、フランス語でEducation、Enseignement et formation、イタリア語ではEdukazioneのセクションで情報を見ることができます。

上記のサイトは、スイスの国語もしくは英語ですが、より一般的なスイスの教育制度については、プレゼンス・スイス(スイスを外国に紹介する政府のプロモーション機関)が、DVDを制作しています。その内容がインターネットにアップされていて、日本語で読めますから、是非ご覧下さい。
このサイトは、スイスの教育をはじめ、研究開発、技術革新などのテーマについても詳しい情報を日本語で紹介していますから便利です。
http://www.swissworld.org/dvd_rom/eng/education_2004/content/index-jap.html

鳥インフルエンザが原因と思われる鳥の死亡がスイスでも確認されましたが、鳥インフルエンザについて、詳しく説明のしてあるサイトなどを教えてください。それと、今の時点でどんなことに注意をしたらいいかも併せて教えて下さい。(2006年4月号掲載)

スイス保健局と獣医局の発表では、「現在までに、スイスではごく少数の野鳥が鳥インフルエンザに感染しています。感染の危険はありますが、それは、主に家禽類へのものです。野鳥から家禽への感染を予防するため、当局は必要な措置を講じています。一方、保健局や獣医局に、住民から質問が寄せられていますが、よくでる質問に答える形で、同局では、ホームページ上にFQAを設けています。その冒頭には、以下の説明があります。

「鳥インフルエンザH5N1は、アジア、ヨーロッパ、アフリカで検出されています。そして、数年前から、東南アジアにも広まっています。過去の経験から、鳥インフルエンザは、鶏および鳥類一般にとって危険なインフルエンザです。鳥インフルエンザは、動物の病気で、人間への感染はきわめて少なく、感染した鶏に常時接触している人に感染した症例がわずかに報告されているだけです。野鳥や鳥のフンから感染したケースは現在まで報告されていません。」

◇スイス連邦保険局・獣医局のホームページに掲載されている鳥インフルエンザに関する一問一答から、抜粋◇

以下FQAになっていますが、この中から、いくつか直接私たちの日常生活に関わるものを紹介しましょう。

<質問>もし死んだ鳥を見つけたらどうしたらいいでしょうか。
<答え>鳥が一羽死んでいても、それは問題ではありません。よくあることです。ただし、複数の鳥がまとまって死んでいたり、白鳥が死んでいるのを発見したら、近くのカントン獣医まで連絡してください。猫が死んだ鳥を運んできたら、ビニールの手袋をして、動物の死骸処理場かゴミ箱に捨ててください。ビニールの手袋がない場合は、ビニールの袋などを利用して、直接手に触れないようにしてください。感染の危険は、非常に少ないですが、直接手で触らないようにして下さい。

<質問>怪我をしたり、病気の鳥を見つけたらどうしたらいいでしょうか。
<答え>複数の鳥が病気になっているのを発見したら、鳥に触れないで、すぐにカントン獣医に知らせてください。もし怪我をしたり病気の鳥が一羽の場合、ビニールの手袋をして、鳥を最寄りの鳥の病院に持っていきます。現状では、隔離施設のない鳥の病院には、怪我したり病気の鳥を持っていかないこと。Sempachの鳥類センターの指示に従ってください。指示は、同センターのホームページ(www.vogelwarte.ch)内、Infonet/Renseignements で見ることができます。
質問:鳥のフンや病気の鳥に触れてしまった場合、何をしなければならないでしょう。
回答:鳥のフンは様々の病気を媒介する危険がありますから、すぐに石けんを使って、丁寧に手を洗いましょう。着衣は、普通に洗濯機で洗って下さい。その他の対策は役立ちません。

質問:鳥のえさ箱を避けないといけませんか。
回答:すずめは、現時点では鳥インフルエンザに関係ありませんから、避ける必要はありません。ただし、鳥のえさ箱を掃除するときには、フンに直接触れることを避け、手袋をして下さい。そして、掃除の後は、石けんで手を洗って下さい。

質問:猫を外に出してもいいですか。
回答:はい。アジアやドイツのリューゲン島のように、鳥インフルエンザが蔓延しているところでは、鳥インフルエンザが猫に感染したケースがあります。スイスでは、現在までのところ、鳥が大量に死んだ例がありませんから。猫に感染する危険は、次の理由から大変低いと言えます。猫は、すずめをねらうことが多いですが、すずめへの感染の危険は非常に低いです。さらに猫は鳥の死骸には、関心をしめしません。(後略)

質問:鳥の肉やタマゴを食べても大丈夫ですか。
回答:はい、まったく心配なく、鳥の肉やタマゴを食べても大丈夫です。現時点では、鶏肉や生卵をベースにした料理などで感染したケースはありません。さらに、インフルエンザのウイルスは熱に弱く、調理中にウイルスは死んでしまいます。しかし、もっと重要なことは、鳥インフルエンザに感染した製品(原産地がスイス、外国に関わりなく)は、スイスの市場には出回っていません。

 その他にも、日常生活に触れてのQ&Aが沢山あります。詳しくは、下記サイトをご覧下さい。(仏、独、伊語でご覧いただけます)
<役に立つサイト>
スイス環境局の鳥インフルエンザに関するサイト
*上記サイトはフランス語ですが、ドイツ語、イタリア語でもご覧になれます。

Sempachの鳥類センターのホームページ
鳥インフルエンザに関する情報が盛り込まれています。

在スイス日本大使館ホームページ
領事班情報のページに、外務省の鳥インフルエンザに関する資料、厚生・労働省の「インフルエンザ」に関する情報の載っているサイトが紹介されています。
 

スイスに長期滞在するので、ヴィザの申請をしようと思って、在東京スイス大使館の領事部に問い合わせたところ、在外公館ではヴィザの発行業務は現在やっていない、という返事をもらいました。各州(カントン)の担当局へ直接申請するように指示されましたが、本当でしょうか。
(2006年1月号掲載)


在東京スイス大使館のホームページをご覧いただきますと、その点が詳しく出ています。説明のあるスイス大使館のホームページURLは以下の通りです。
http://www.eda.admin.ch/tokyo_emb/e/home/travch/visares/japanese.html

そこには、以下のような説明があります。「3ヶ月以上スイスに滞在するヴィザスイスに長期滞在する人は、入国前に、滞在を予定しているカントン(州)の担当当局(通常移民局)に直接「滞在許可」を申請しなけらばなりません。以下のウェブサイトに必要なコンタクト先の連絡先が掲載されています。

http://www.bfm.admin.ch/index.php?id=590&L=3
 
カントンによっては、申請に必要な書類がウェブサイトに掲載され、ダウンロードできる場合もあります。
E-mailでの問い合わせよりも、ウェブサイトでインフォメーションを捜す方が早い場合もありますので、ご注意下さい。

なお、従来スイスの滞在許可書の種類にはA-Permit、B-Permit、C-Permitという形のものがあり、A-Permitは季節労働など短期のもの、B-Permitは収入を伴う滞在、そして永住権としてのC-Permitがありました。最近のスイス連邦政府の公式サイトで情報を見ると、A-Permitは、なくなったようですね。それに変わり、収入を伴わない滞在の場合L-Permit、収入を伴う滞在の場合B-Permitと区分されるようになったようです。www.admin.ch のホームページから、内務・警察省のサイトに進み、外国人の滞在許可の種類を見ると分かります。下記をご参照下さい。
http://www.bfm.admin.ch/index.php?id=626&L=1 (このサイトはフランス語ですが、同じ内容で、独・伊・英語でもご覧になれます)

「国民投票」と一言でいってもいろいろあるようですが、スイスの国民投票システムを簡単に説明してください。(2005年10月号掲載)

スイスの国民投票のシステムを簡単に説明するのは、なかなか大変ですが、基本的なことをご紹介し、詳しくはスイス連邦政府の公式ウェブ・サイトをご覧下さい。スイスの法律で決められている国民投票には、「レフェランドム」と「イニシアティヴ」(発議)によるものがあります。「レフェランドム」の場合、必ず国民投票に付されるものと任意のものがあります。必ず国民投票に付されるものは、連邦憲法の修正と国際機関・組織への加盟等に関する条約・協定です。そして、この国民投票の場合、投票総数とカントン(州)の両方で過半数に達して初めて承認されることになります。

一方、「任意のレフェランドム」の場合は、新しい法律や修正された法律、国会の条例、国際的合意によっては、国民投票が請求された場合に国民投票が行われるものです。請求が公表されてから100日の間に、5万人の署名が集まれば、該当の法律が国民投票に付されます。この場合は、投票総数の過半数だけで承認されます。(一面で紹介したEU新加盟10ヶ国の人の移動に自由に関する国民投票は、これに当たります)

さらに、国民側には、イニシアティヴ(発議)の権利があり、このイニシアティヴが規定を充足したら、国民投票に付されます。イニシアティヴは、連邦憲法の修正に関して提起することができます。イニシアティヴの発議から180日以内に、10万人の署名が集まれば、当該イニシアティヴは、国民投票に付されます。この際、連邦政府は、このイニシアティヴへの対案を提起する権利があります。対案でありながら、1987年以来、国民投票の際に、イニシアティヴと政府対案の両方が賛成過半数になる可能性もあります。更に詳しくは、連邦政府の公式 ウェブサイト(www.admin.ch)を是非とも参照下さい。トップページで、独語、仏語、伊語、ロマニッシュ語、英語の1つを選び、次のページにアクセスすると、真ん中当たりに「連邦の政治的権利」という章があります。その中に、「国民投票(レフェランドム)」「国民のイニシアティヴ」などの項があります。

スイスで今年から「日本語能力試験」(国際交流基金主催)と「ジェトロ・ビジネス日本語能力試験」(ジェトロ主催)と2つの日本語能力試験が行われますが、名前が似ているのでよく違いが分かりません。どんな違いがあるのでしょうか。(2005年7月号掲載)

国際交流基金主催の日本語能力試験は、グリエツィvol.30本紙9-10ページで案内している通り、日本語を学ぶ初級者から上級者までを広く対象にして、総合的な日本語能力がどこまで到達しているかがチェックできる試験です。1級から4級までのレベルがあり、文字・語彙、聴解、読解・文法の3つの分野についての試験が行われ、受験した級について合格・不合格の結果が出されます。毎年、12月の初めの日曜日に世界中で同時に行われる試験で、日本語のレベルを示す客観的な指標として、最も広く普及している試験です。昨年は、35万人を超える人が受験しています。今年からスイスのベルンで受験できるようになりました。一方、ジェトロ(貿易振興会)が主催するビジネス日本語能力試験は、日本語学習者がビジネス分野でどれぐらい役立つ日本語を身につけているかをチェックできる試験で、合格・不合格の結果でなく、点数で到達評価が出されます。初級終了程度の日本語学習者から受験が可能です。ビジネスで日本語を必要とする人はもちろんのこと、自分の日本語の到達度がどの程度かをチェックするのに有効な試験といえます。今年からスイスで実施が実現した国際交流基金主催の日本語能力試験もジェトロ主催のビジネス日本語能力試験も、今後日本語学習者にとって、学習意欲を高めていく道しるべとなっていくことでしょう。みなさんの周りの日本語学習者、パートナーに大いにすすめてください。

最近スイスから外国に電話をするのに、とっても安い電話料金で電話ができるサービスがあると聞きました。
分かれば教えてください。(2005年4月号掲載)

外国、特に日本への電話料金は、どんどん安くなっているので、遠く離れている両親や兄弟などに気軽に電話ができるようになってきましたね。最近入ってきた情報としては、1分間でわずか3ラッペン(サンチーム)で電話ができるというHelvatelという電話サービスです。1分間3ラッペンというのは、固定電話の料金で、携帯電話からだと1分間30ラッペン(サンチーム)掛かります。それでも大変安い電話料金ですね。インターネットでHelvatel のサイトにアクセスしてください。このウェブサイトは、英、独、仏、伊語でインフォメーションが見られます。トップページの左上の方に、Tarifliste(料金表)がありますので、それをクリックすると、各国への電話料金とアクセス番号が一覧表で見ることができます。日本に電話するには、まず0840- 54.4.544をダイヤルします。電話がつながると、最初に料金の説明とダイアルの仕方の説明があります。その後、通常のトーンが聞こえたら、掛けたい電話番号を0081から始めてダイヤルします。実際に利用している人の話では、音も大変クリアーで、通話には全く問題がないとのことです。 Helvatelのホームページ上の説明を読むと、固定電話の1分間3ラッペン(サンチーム)は消費税込みの値段で、それ以外に別料金がかかったり、申し込み料金等もありません。そして、通話料の請求も、通常の電話会社の請求書の中に含まれて来るとのことですから、余分な手間も掛かりません。是非一度ご利用ください。

今年の1月1日から、道路交通法が変わり、血液中のアルコール濃度の許容量が、0.8 mgから0.5 mgに引き下げられました。どうしてさらに厳しい法規に変わったのでしょうか。そして、具体的にどんな処罰があるのでしょうか。(2005年1月)

スイス交通事故予防事務局は、インターネットや冊子を用意して、2005年1月1日から新しく適用されている道路交通法についてのキャンペーンを進めています。それを参考にしながら質問にお答えしましょう。今まで、グラスワイン2杯が、飲酒運転の許容量(今までは血液中のアルコール濃度0.8mg)といわれてきました。しかし、今回の改定で、0.5mgとなり、グラス1杯が限度というキャンペーンが進められています。その背景には、交通事故の統計で見るとおり、悲しい数字があります。0.5 mgを越える飲酒量で、急速に交通事故の頻度が上がり、0.8mgのアルコール濃度では、0.5mg以下の場合の4倍に増えています。スイスでの交通事故死の内、約5分の1が飲酒運転が原因です。そして、交通事故全体を見るとき、事故の約30 %が、飲酒運転が原因という数字が出ています。この数字は、週末になると50%にまで達します。
新法規では、0.5 mgから0.79 mgのアルコール濃度だった場合、1日から3ヶ月の拘留もしくは罰金刑、0.8 mgを越えた場合は、3日から3年の拘留もしくは罰則刑となります。
通常、0.5?0.79mgのアルコール濃度が検出されると、初めてのケースの場合には、「警告」が発せられるだけで、罰則はありません。しかし、2回目以降は1ヶ月以上の免許停止など、大変厳しい罰則となります。もちろん、0.8 mgを越えるアルコール濃度が検出された場合には、更に厳しく、3ヶ月以上の免許停止となります。
 「飲むなら乗るな」「ノーという勇気を持とう」をモットーにみなさんもどうぞ、飲酒運転をしないように心がけましょう。

ファスナハゥトの日はどうやってきまるのでしょう?>(2005年1月)

キリスト教、特にカトリックが中心の社会では、「復活祭」の日を決めるのに、3月21日の春分の日を起点にします。春分の日を過ぎ、最初の満月後の初めての日曜日が復活祭になります。復活祭の前40日間は、「四旬節」と呼ばれ、イエス・キリストが荒野で断食をした40日になぞらえて、肉を経って断食をする季節に充てられます。その「四旬節」の始まる日は「灰の水曜日」と呼ばれ、その直前の数日間は、ファスナハゥト(カーニヴァル)で、断食の季節が始まる前の無礼講で大騒ぎをします。
 この方法で計算した時、今年は、灰の水曜日が2月9日(水)です。そして、
2月3日(木)の Schmutzige Donnerstagから2月8日(火)までが、ファスナハゥトの季節です。もちろん、ところによっては、1月6日過ぎから、ファスナハゥトが始まる地方もあります。

スイスとフランスの国境にある「CERN 」と呼ばれる国際研究組織が今年創立50年を迎えて、10月18日にオープンデーが予定されていると聞きます。「CERN」とは何のことで、どんな研究を中心にやっているところでしょうか?

CERNというのは、Conseil europeen pour la recherche nucleaire の略号ですが、今日では、Laboratoire Europeen pour la Physique et des Particules(ヨーロッパ合同素粒子原子核研究機構)と改称されています。しかし、略号のCERNはそのままこの研究センターの名称として使われています。1953年に、平和利用を目的に原子核と素粒子研究分野でヨーロッパ諸国が協同する機関として設立されました。高エネルギー物理学の分野では世界トップレベルの研究を推進しています。メンバー国は、現在ヨーロッパの20ヵ国で、同センターでは、常時2200人に上る研究者、技術者が仕事をし、全世界から6000人に上る研究者を迎え、研究に取り組んでいます。もちろん、最先端の研究を進めている日本の研究者も多く同センターで仕事をしています。

スイスに移ってきてから、日本の友人や知人に、スイスのことなら何でも分かると思われているようで、結構難しい質問を受けることがあります。そんな時に、ちょっと簡単にスイスの政治、経済、歴史、文化、自然、食生活や風習などについて、まとまったウェブ・サイトなどがあると便利だと思うのですが、どこか適当なものはないでしょうか?

swissinfo というスイス国際ラジオの公式ホームページをご存じですか?このswissinfoのトップページ から日本語ページに進めます。スイスのニュースが毎日日本語でご覧になれます。時事問題はもちろん、スイスについての情報が日本語で読めます。その日本語ページの一番下の方に、「swissworld.org」があります。このサイトが最近になって日本語で読めるようになっています。スイスの地理、経済、科学、国民、文化、政治、歴史とジャンル別でスイスが紹介されています。同時に、テーマ別で「スイスの山」と「チーズ」の特集がある上、沢山にリンク先があります。日本語でこうしてまとまってスイスの基本的なことが読めるのはとっても素敵ですね。是非ご利用下さい。

私は在外選挙の登録をしていて前回の選挙でも郵便投票をしました。 ここのところ、日本では年金改革と平行して憲法改正について政府は意欲的ですよね。もし、国会議員の3分の2以上の賛成で国会がこれを発議した場合国民投票にかけて国民の意思を問うわけですが海外にいる私たちは国民投票に参加できないような気がします。
というのは外務省の発行した「在外選挙のご案内」には「在外選挙の対象は当分の間、衆議院・参議院とも比例代表選出議員選挙に限られています」と記載されているからです。 しかし、憲法改正というのは国会議員選出以上に大切なことだと思うのです。在外選挙という制度があるのですからもし、憲法改正の是非を問う国民投票が実施されるならば海外にいてもそれに一票を投じたいと思いますしそれが可能かどうかも一有権者として是非知っておきたいと思うのです。
(S. E. さん、グラウビュンデン在住)


『グリエツィ』編集部より
S. E. さん、とても大切な問題を提起してくださって、ありがとうございます。『グリエツィ』としても、この問題は、とても大切だと思います。大使館や外務省にも問い合わせようと考えています。
同時に、署名運動などを起こすのもひとつの方法ですね。

電車やトラムの中で、よく犬を連れている人を見かけますが、ペットを連れて乗車するときには、料金はかからないのでしょうか?

電車の中などで、時々犬を連れている方を見ますが、みなお行儀がよく大人しく座席の下などにじっとしていますね。早速、 スイス国鉄やチューリッヒ市交通局、ルツェルン交通局などに問い合わせてみました。通常、小さいペットでかごなどに入れて運ぶ場合は、特に料金はかからないそうです。そして、少し大きくて、抱いたり、かごに入れて運べないペットの乗車料金は、子供料金と同じで、大人料金の半額とのことです。
 

【追加情報】2004年4月

PostFinance(郵便口座)

郵便口座をお持ちのみなさんは、従来のように口座の出入金記録を郵便で送ってもらうと2004年6月1日から手数料が値上がりする場合があります。Postfinanceでは、Yellownet(インターネットでの口座管理)を推進するためにこの料金改定を進めていますが、案内パンフレット等あるいはホームページで説明をよく読んで、できるだけ負担の掛からない方法を選んでください。

Zuerich方面の電話番号が変わります。
電話番号が 01 で始まるチューリッヒ方面では、今年の3月より、最初の番号が、01 から 044 に変わりました。ただし、2007年3月31日までは移行期間として、01と044のどちらでも電話は通じます。スイス連邦通信局では、郵便で各戸に説明書を配布していますが、今から 01 から 044 に変更することを推奨しています。そして、2005年の初めからは、各種の記録に 044 を採用するよう案内がされています。

日本から家族や親戚、友だちが遊びに来ても、なかなか一緒に案内ができないので、困ることがあります。何かいい方法はないでしょうか?

スイスには、ベテランガイドさんが沢山います。中でもプロのタクシーライセンスを持ち、ベテランガイドの高山俊行さんなら、きっとご家族、友人、親戚なども十分納得する旅行を堪能できるでしょう。高山さんは最近になってホームページをオープンしました。高山さんからのメッセージをご紹介しましょう。

☆旅行シーズン到来です☆
今年も日本からご家族、お友達、ご親戚がこちらに来られる...だけど 忙しくて、とても一緒に旅行に行かれない???そんな時にこそ、この私が皆様のお手伝いを致します。

スイスのベテラン ガイドとして30年以上もスイス国内や国外を飛び回り旅のノウハウを知り尽くしていますので必ずお客様にご満足して頂けること請け合いです。又、タクシーライセンスを持ったプロ・ドライバーですので何の問題もなく安心してご乗車して下さい。日帰り旅行はもちろん、3日間、1週間、皆様のご希望に添った素晴らしきスイスや近郊の国々の旅を提供できますし、何と言ってもガイド+ドライバーの1人2役、3役をもこなしちゃいますので、金銭的にも非常に割安な旅行ができます。お客様のための思いやりと、思い出に残る旅作りをモットーとしております。さあ、これで誰が来ても心配ありません!(車も皆様のご希望、ご予算に添った金額での車種をご用意出来ます)旅に関してのご相談でしたら何なりとどうぞ。

Takayama Travel & Limousine Service 
Em.Muellerstr, 13
6010 Kriens 
Tel : 041 310 76 53
Fax : 041 310 95 10
携帯 : 079 692 40 56
E-Mail :
info@takayama-travel.ch

去年の秋から冬に掛けて総選挙と連邦評議会(日本の内閣にあたる)の選挙がありました。テレビを見たり新聞を読んだりしていて気がついたのですが、政党の名前がほとんど略号ばかりで、あまりよく分かりません。それと、私のパートナーの話では、ドイツ語とフランス語では同じ政党の呼び方の違いもあるそうです。どの略号がどの政党なのか分かれば教えてください。

昨年10月19日の総選挙(国民議会議員と全州議会議員の両方)が行われ、12月9日には、今度は連邦評議会(Bundesrat / Conseil fe'de'ral)選挙が行われました。これらの選挙で議席を伸ばし国会での第1党になり、連邦評議会選挙で2人が選出されたSVP/ UDC(スイス国民党、Blocher党首)は、その名前が非常に分かりにくい政党ですね。

日本のマスコミでは、「スイス国民党」と訳されているようですが、実は、これはドイツ語からの訳です。ところがフランス語では、この同じ政党が「中道民主同盟」と呼ばれています。この政党のウェブ・サイトでスイスの国語でどう呼ばれているか調べてみましたが、なんと面白いことに仏語・伊語で同じ表現、独語とロマーニッシュ語で同じ表現となっています。4つの言語でのこの政党の表現を以下に紹介しておきましょう。

Schweizerische Volkspartei (独語)
Union Democratique du Centre (仏語)
Unione Democratica di Centro (伊語)
Partida Populara Svizra (ロマーニッシュ語)

 上記のSVP/UDC(スイス国民党)の他に、連邦評議会に閣僚を有する政党名をドイツ語とフランス語で紹介しておきましょう。違いが分かりやすいように試みに日本語訳を付しました。

SP/PS
Die Sozialdemokratische Partei der Schweiz
SPS、スイス社会民主党)
Le parti socialiste suisse (PSS、スイス社会党)

FDP/PRD
Die Freisinnig-Demokratische Partei (FDP
、自由民主党)
Le parti radial-d
ocrat (PRD、急進民主党)

CVP/PDC
Die Christlichdemokratische Volkspartei (CVP
、キリスト教民主国民党)
le parti d
ocratie-chrien (PDC、キリスト教民主党)


<付録>
20031019日 国民議会選挙の結果

スイスでは、立法府の国民議会(National Rat /Conseil national)と全州議会(Staenderat / Conseil des Etats)の改選が4年に1回行われる。国民議会は日本の衆議院に当たり、議席数は200議席である。全州議会は、各州で2名選出される。半州のところはそれぞれ1名選出されるので、議席数は46議席である。日本の参議院に当たると考えれば分かりやすい。
選挙結果は、以下の通り。

<国民議会>
スイス国民党SVP/UDC  55(改選前44
社会党 SP/PS 52(改選前51
自由民主党FDP/PRD 36(改選前43
キリスト教民主(国民)党CVP/PDC 
28
(改選前35
緑の党 Gruene/Verts 13(改選前 9
その他 Verschiedene/Div. 16(改選前18)

<全州議会>
キリスト教民主(国民)党CVP/PDC 15
自由民主党FDP/PRD 14
社会党 SP/PS 9
スイス国民党SVP/UDC 8

Christoph Blocher率いるスイス国民党と緑の党は大きく躍進し、社会党も着実に議席を増やした。一方、自由民主党とキリスト教民主党は大幅に議席を後退させた。特にキリスト教民主党は、この総選挙の結果が大きく影響し、129日に行われた連邦評議会選挙で現職のRuth Metzler氏が不信任となり2名の評議委員の内1名を失う結果となった。

●2003年12月9日 連邦評議委員選挙の結果

去る2003年12月9日、国民議会と全州議会の合同議会でKaspar Villiger氏の引退に伴う新連邦評議会委員を選出する選挙が行われた。現職委員についての信を問う選挙も同時に行われた。 
2003年10月19日に実施された総選挙(国民議会と全州議会の全議席)で、国民議会でSVP/UDC(スイス国民党、Blocher党首)が26.6%(前回比+4.1%)の議席を獲得し、第一党になった。その結果、スイス政治の一つの特徴とされる妥協と合意の連邦評議会(7人の評議委員で構成)の政党配分「マジック・フォーミュラー」が政治問題化し、総選挙以来、12月9日の連邦評議会選挙まで、いろんな可能性がマスコミで取りざたされ、大いに注目されてきた。
「マジック・フォーミュラー」では、連邦評議会のポスト配分が以下のように慣習化されてきた。

2 FDP/PRD2 CVP/PDC
2 SP/PSS1 SVP/UDC

現職連邦評議委員の信任投票およびVilli-gar 氏の辞職に伴う新しい評議委員1名の選挙が行われた。信任投票では、在任期間の長い連邦評議委員順に信任投票が行われる。国民議会(200議席)・全州議会(46議席)合同議会において、有効投票数の過半数で選出される。

選挙の結果は以下の通り。
Moritz Leuenberger (SP/PSS) 211票で信任(環境・交通・エネルギー、コミュニケー ション担当)

Pascal Couchepin (FDP/PRD) 178票で信任(内務担当)
Ruth Metzler (CVP/PDC)    116票で不信任対立候補のChristoph Blocher (SVP/UDC) 氏が121 票で新評議委員に選出(法務・警察担当)
Josef Deiss (CVP/PDC)
  138票で信任(経済担当)
Samuel Schmid (SVP/UDC)   167票で信任(防衛・国民防衛・スポーツ)
Micheline Calmy-Rey (SP/PSS) 206票で信任(外務担当)

Villigar 氏の辞任に伴う新委員選挙:Hans-Rudolf Merz (FDP/PRD) 127票で当選(財務担当)
*カッコ内は、選挙後確定した役職
なお、2004年の連邦大統領には、Josef Deiss氏が承認された。

この選挙の結果、今までの「マジック・フォーミュラー」が崩れ、新たな政党配分が誕生した。中でも、 現役のRuth Metzler氏の落選によって、CVP/PDCはそれまでの2閣僚から1閣僚となり、SVP/UDC は、1閣僚から2閣僚となった。従来からEU加盟に反対しているBlocher氏の入閣によって、EUへの加盟問題、国籍法、EUとのバイラテラル協議などに微妙な影響が出てくることが予想される。さらに、改選前に女性評議委員は2名だったが1名減となり、女性の権利拡充の見地から大きな後退であるという論評が多く出されている。


スイスのことを表記するのにCHをよく使います。たとえば、車の後ろに貼る国別ステッカーは「CH」ですし、スイス・フランの表記も「CHF」ですね。これは、どうしてなのでしょうか?

  お手元に5フラン硬貨があればご覧下さい。5FR.と書いてある面の裏側に「Confoederatio Helvetica」という文字が見えます。これはラテン語で「ヘルベチア連邦」という意味です。これが、自動車の国別や外貨としての表記に使われています。「ヘルベチア」は、ジュリアス・シーザーが今日のスイス西部方面を支配下に置くまでレマン湖周辺に拠点を置いて活動していたケルト系部族の名前です。1848年にスイス連邦憲法が作られるときに、採用され、「ヘルベチア連邦」という名前になったわけです。
 少し脱線しますが、言葉の面から、少しスイスの政治形態について紹介してみましょう。ご存じのようにスイスには、公式言語が4つあります。ドイツ語、フランス語、イタリア語、レト・ロマニッシュ語です。それぞれの言語でスイスの国名は、次のように表現されています。ドイツ語die schweizerische Eidgenossenschaft、フランス語La confederation suisse、イタリア語 La Confederazione svizzera、そしてレト・ロマニッシュ語 La confederazium svizraです。スイス連邦の公式サイトのトップ・ページにこれらの表現が使われています。仏、伊、レト・ロマニッシュ語は、いずれもラテン語系言語でとても似通っていますね。ラテン語のConfoederatioを語源とする単語が使われています。これは、Con-(共に)+ federatio(連盟・連合)という意味で「連邦」と日本語では訳されています。Confoederatioの言葉のもともとの意味では、主権はあくまでこの連邦に参加するひとつひとつのカントンが有し、相互に連合し合っている政治形態を表す言葉です。現在のEUの形態は、比較的このConfoederatioの原義に近いでしょう。ただ、今日のスイス連邦は、カントンや市町村に大幅な権限が認められているとはいえ、軍事・外交など連邦政府にその権限が集中し、主権を有するカントン連合とは違います。しかし、名前だけは、依然としてConfoederatio がそのまま残されているという訳です。
 一方、ドイツ語では、Eidgenossenschaftという表現が使われています。Eid(誓約)+ Genossenschaft(協同組合などの意で、MigrosGenossenschaftと呼ばれます)で、1291年に中央スイスの3つのカントン(UriSchwyzNidwalden)が互いの安全保障を「誓約」しあったことがスイス建国の始めだったことが、言葉の面でそのまま残っているといえます。ここでも、主体がカントンで、カントン間の緩い連合関係だったことがうかがい知れます。

 という訳で、スイス人の意識の中には、今日でも文字通り「Confoederatio」の意味でスイスのことを考えている人が想像以上におおいのかもしれません。

家に小さい子供がいると、出かけるときに、いつも頭を悩ませます。子供連れでも安心していけるところの情報など入手できるところなど分かれば教えてください。

小さいお子さんがいるお宅では、やはり、みんなで出かけて家族みんなが楽しめる場所を決めるのは、なかなか大変なことです。手元に置いておき、今日はどこへ行こうかな、と簡単に物色できるガイド書があると本当に助かりますね。この春に、家族で出かけるのに役立つ情報を集めた本がバーゼルで出版されました。同じような悩みを抱える3人の女性が実際の体験を踏まえて、家族向けの行楽地を厳選し、出版にこぎ着けたのが『Family Fun』。著者の一人が日本人の Schuerch真帆子さんです。紹介されている場所は、55カ所もあります。3人ともバーゼル在住なので、もちろんバーゼルを中心に出かけやすいところが紹介されていますが、バーゼル近郊だけでなくスイスを広範囲にカバーし、さらにアルザス地方(フランス)、シュヴァルツヴァルト(ドイツ)方面まで紹介されています。うれしいのは、英・独・仏語の3ヵ国語で解説があり、国際結婚組にとっては、夫婦が一緒に見ながら、相談できるものとなっている点です。バーゼルなら、だいたいどこの書店でも見つけられるとのことです。インターネットで申し込むには、Bergli Books (info@bergli.ch)が便利です。
 
書名 :Family Fun A Guide to Outings In and Around Basel
著者名:Simone Littlejohn, Denise Casanova, Mahoko(真帆子) Schuerch 
出版社:Schwabe Verlag (www.schwabe.ch)
ISBN 3-7965-2007-3
定価:
SFr. 28.- 

SARSSevere Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群)の動静が依然として、とても気になります。今どうなっているのか、最新情報を入手できるような便利なサイトはないものでしょうか?

重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報は以下のサイトで見ることができます。

☆外務省・海外安全相談センターからのお知らせ
☆東京都感染症情報センターの情報のサイト
上記のページは、東京都を中心にしたサイトですが、 WHOなど国際機関のページにリンクしていたり、SARSに関する報道された情報等が日々アップデートされています。
google (グーグル)で検索すると、上記のサイト以外にも無数の情報サイトが見つかりますので、ご自分の好みに合わせてご覧になることをおすすめします。

しばらく前に、ルツェルンの町で昼間長い時間サイレンがなっていましたが、このサイレンがどんな意味なのか、知る方法はありますか?

. 「サイレン」には、いろんな種類の危険を知らせる役目があります。「危険を知らせるサイレン」の種類とその意味が、電話帳の一番最後のページに説明されています。そのページに沿って、簡単に「危険を知らせるサイレン」の種類と対応策をご紹介しましょう。

◆一般的なサイレン(波動型で連続して鳴るサイレン)
これは、「ラジオを聞きなさい。」の意味。ラジオで案内される行政責任者の指示に従い、「危険の場合に何をすべきか」(電話帳の次のページに掲載されている)を参照し、隣近所に知らせて下さい。

- 特別な地域向けのサイレン -
◆水に関するサイレン(連続してモノトーンのサイレン)
「危険ゾーンから避難しなさい。」の意味。そして、地元の対策要項に従って下さい。
◆原子力発電所の放射能に関するサイレン(断続的な波動型サイレン)
「指定された避難所へ非難しなさい。」の意味。「危険の場合に何をすべきか」の指示に従うこと。

危険の解除は、ラジオもしくは地方自治体から案内されます。
是非一度、この電話帳最後のページにある「危険を知らせるサイレン」の説明をお読み下さい。
何ごとも「備えあれば、憂いなし」ですね。

先日、車をブルーゾーンに駐車して、急いで買い物をして戻ってみると、罰金請求書がフロントガラスのところに付けてありびっくりしました。
40フランの罰金を払いましたが、何が悪かったのでしょうね?

今年の1月1日から新しい交通法規が適用されていますのでご注意下さい。あなたの場合、Parkscheibe (disque de stationnement )と呼ばれる駐車開始時間表示用ディスケットを外からよく見えるところに表示していなかったことが罰金の対象になったのだろうと思います。このディスケットは、30分刻みの表示がしてあります。表示する到着時間は、実際の到着時間のすぐ後の目盛りのところです。このディスケットは正式のものを使用することが義務づけられています。もし、正規のものが手元にない場合は、地元交通警察署や自動車免許試験場などの窓口で無料で入手できます。
 ちなみに、ブルーゾーンでは、午前8時?午後6時までは、このディスケットを外からよく見えるところへ表示しなければなりまん。それ以外の時間帯(午後6時?翌日午前8時まで)と日曜・祝祭日については、駐車は自由です。


二重国籍を求める請願署名運動

署名にご協力ありがとうございました。今年の秋の国会では紹介議員が6人に増えました。また、第43回海外日系人大会では重国籍が重要課題となり、外務省及び衆参両院議長主催のレセプションでも強く政府に要望されました。平成15年の通常国会提出のため、引き続き署名にご協力ください。

GCNET (グローバル市民権ネット)

チッペルレ ゆり
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*署名用紙は、グローバル市民権ネットのホームページからダウンロードできますが、インターネットを使っていない方は、是非ともお知り合いに協力をお願いして、ダウンロードしたものをプリントアウトしてもらって下さい。


  帰国した際に、日本運転免許証の有効期間がきれてしまったのですが、どうしたらよいですか?(外務省領事移住部発行海外邦人ニュースレター第149号「よくある質問」より転載)

  免許証の有効期間が切れている場合、次の3種類の方法により、免許を再取得することができます。
(1) 失効後6ヶ月以内の場合
学科・技能試験が免除され、適性試験のみでそれまで取得していた免許を新規に取得することができます。この場合は、特定失効者に対する講習を受ける必要があります。

(2) 失効後6ヶ月を過ぎている場合(ただし3年を経過しない場合)
海外滞在等やむを得ない理由のため、(1) の期間内に試験を受けることができなかった場合は、帰国後1ヶ月以内の申請であれば、学科・技能試験が免除され、適性試験のみでそれまで取得していた免許を新規に取得することができます。なお、この場合も特定失効者に対する講習を受ける必要があります。

(3) 失効後3年を過ぎている場合
試験の一部免除は認められません。ただし、海外に出国した日などのやむを得ない事情が平成13年(2001年)6月20日前に生じた方については、帰国後1ヶ月以内の申請であれば、(2) と同様の方法で免許を取得することができます。

  今年の1月1日から新通貨ユーロの使用が、ヨーロッパ12ヵ国でスタートしました。
スイスでは、スイス・フランがそのままなので、ピンと来ないのですが、ユーロについて教えて下さい。それと、ドイツ・マルクやイタリア・リラの旧紙幣・硬貨をまだ持っているのですが、ユーロに交換は可能なのでしょうか?

 これまでも、現金を使用しない場合など、「ユーロ建て」の銀行取引などが行われてきましたが、10年の準備期間を経て、遂にユーロの現金が使用開始されました。ユーロ参加国は、ベルギー、ドイツ、ギリシャ、スペイン、フランス、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ポルトガル、フィンランドの12ヶ国です。今年の1月1日にユーロが実際に登場してから数日のうちに、140億枚を超すユーロ紙幣と500億枚以上のユーロ硬貨が、ユーロ参加国で流通しているほぼ同数の紙幣と硬貨に取って替わるというもので、過去に前例のない事態が現在進行形というわけです。ユーロ紙幣は、7種類(5、10、20、50、100、200、500ユーロ)あり、ユーロ圏で共通のデザインの紙幣が使用されます。欧州の歴史における建築様式の発展を、人と人をつなぐ「窓」と「橋」という図柄によって表現しています。硬貨は8種類(1、2、5、10、20、50ユーロセント、1、2ユーロ)あります。1ユーロ=100セントです。硬貨の片面には共通のデザインが描かれ、EUの加盟国間の結束を表しています。もう一方の面には、各国が選んだ独自のデザインが施されています。ただし、どの国のデザインの硬貨であっても、すべてのユーロ参加国で使用できます。
気になるのは、ユーロ参加国の旧紙幣・硬貨の交換です。スイス国内の銀行・両替窓口では、ユーロ参加国の旧紙幣は、いったんスイス・フランに換算されます。ユーロとスイス・フランの交換レートは、1月5日時点でおよそ1ユーロ=1.49SFr.です。

ユーロ参加国内では、2002年2月28日(フランス、アイルランド、オランダはそれ以前)までは、その国の旧紙幣・硬貨での支払いが可能です。ただし、商店などでのお釣りは、可能な限りユーロで支払われることになっています。2002年3月31日までは、ユーロ参加12カ国の中央銀行が指定する所定の窓口で、他国の通貨も含めたすべての旧紙幣の両替が無料で取り扱われてます。最長で2002年12月31日までは、ユーロ圏内の市中銀行で、自国の旧紙幣の両替ができます。この場合、最長で2002年2月28日まで、銀行の顧客に対する両替は一般的に無料です。それ以外の方には、一定の金額を超えると手数料が発生する場合があります。 現金で持っている旧紙幣・硬貨については、2月28日までに、スイス・フランに交換するか、ユーロに交換しておく方が、面倒が少ないでしょう。 欧州中央銀行のウェブ・サイト(http://www.euro.ecb.int)では、ユーロに関する詳しい情報がEUのヨーロッパの11ヶ国語で説明されています。さらに、駐日欧州委員会代表部のサイト(http://www.jpn.cec.eu.int)では、日本語でユーロについての説明がご覧いただけます。

  昨年、北海道を旅行したさい千歳でレンタカーを借りようとしましたら、スイスのTCS発行の国際免許証では貸さないし運転もできないと拒否されました。大使館をとうしJTCの翻訳をつけねば無効ということでした。帰省の度レンタカーを借りていましたが拒否されたのは初めてでした。実際には何が必要なのでしょうか?

  ご指摘の通り、スイスで作成された国際免許証は、日本ではスイスで取得した免許証(フランス、ドイツのものでも同様)を持っていて、日本で運転をしたい時には、通常の免許証に日本語による翻訳文(翻訳証明書)を一緒に携行していることが必要です。この翻訳証明書を発行してくれる機関は、在東京スイス大使館もしくは、(社)日本自動車連盟(JAF)です。翻訳証明書の有効期限は、オリジナル免許証の有効期限と同様ですが、日本で運転が可能な機関は、最長1年間ときめられています。ただし、1年未満にいったん日本を出国すれば、再入国から1年間有効となります。スイスの免許を日本の運転免許に書き換える方法もありますが、日本に長期滞在する方や日本に帰国する方は、こちらの方を利用されるのが一番よいと思いますが、一時帰国の場合に自動車を運転される方は、翻訳証明書の作成が便利でしょう。

在東京スイス大使館 
〒106-8589 東京都港区南麻布5丁目9-12
Tel 03 3473 01 21 Fax 03 3473 60 90
*スイス大使館に翻訳を依頼した人の経験では、事前にファックスで免許証のコピーを送付すれば、手数料をスイス国内の指定振込先へ支払う方法で、「翻訳証明書」を作成してくれます。詳しくは、直接在東京スイス大使館へお問い合わせ下さい。

(社)日本自動車連盟(JAF)本部
〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8
Tel 03 3436 28 11 
http://www.jaf.or.jp
「翻訳証明書」についての説明のページ:
http://www.jaf.or.jp/inter/index.htm

  6月2日の国民投票と同時に行なわれた各地の住民投票の中で、アッペンツェール・アウサーローデン(AR)のゲマインデSpeicherで、在留外国人の参政権(選挙権・被選挙権)を認める法案が賛成多数で承認された、と新聞で読みました。
現在スイスでは、いくつのカントン、いくつの市町村で在留外国人に参政権が認められているのでしょうか?詳しく分かれば教えて下さい。

   ヨーロッパでは、北欧諸国を中心に、地方政治レベルで、在留外国人(通常10年以上の在留者)の参政権を認める法律があり、政治参加をしています。エネルギー問題や環境問題、税金問題など、ひとつの市町村に住んでいるものとして、国籍に関わりなく影響があります。そうした中で、長期に居住する外国人の参政権問題が、今日広く議論されて生きています。現状では、スイスの26カントン(半州を含む)の内、カントン・レベルで参政権を認めているのは、ジュラとヌーシャテルの2つのカントンだけです。

ジュラでは、カントン内に10年以上在住し、現住市町村に30日以上居住している場合、カントンと市町村(コミューン)の法案に関して参政権が認められています。ヌーシャテルの場合は、1849年来、カントン内に1年以上在住の外国人は、市町村レベルの参政権が認められています。そして、2000年のカントン憲法(基本法)の改正で、カントンに5年以上在住の外国人は、カントン・レベルでの参政権が認められるようになり、2002年(今年)1月1日より施行されています。アッペンツェール・アウサーローデン(AR)の憲法では、スイス在住10年以上で、カントン在住5年以上の外国人への参政権問題について、市町村にその決定権が付与されています。この憲法規定に従って、現在までに2つの市町村(Wald、Speicher)が在住外国人の参政権を認めています。その他、現在多くのカントンがカントンの憲法(Constitution/Verfassung)を大幅に改定する準備を進めています。その中では、在住外国人の参政権もテーマとして検討されているところが多いと聞きます。

ヌーシャテル州議会でで配偶者、直系親族(子供)の相続税を免除する問題が議論されている、と聞きます。スイスでの相続税は、どうなっているのでしょうか?一般的なことでいいですから、分かったら教えて下さい。

ご存知の通り、スイスでは、カントンレベルで決定されることが沢山あります。相続税についても、各カントンで税率が大きく違います。2002年9月5日(木)付けのLe Temps(フランス語圏の新聞)にカントン別の相続税の現状が一覧表になっています。それを見ると、配偶者に対して相続税が課せられるカントンは、26カントン(半カントンを含む)の内、わずかに5カントン(ジュネーヴ、グラウビュンデン、ジュラ、ヌーシャテル、ヴォー)だけです。課税率の幅は、カントン毎に少しずつ違いますが、一番率の高いのが6%(ジュネーヴ)です。
直系親族(つまり子供・孫などに)関しては、11のカントンで相続税が免除されています。しかし、課税対象になっているカントンでも10%を超えるカントンはありません。課税率の幅はいろいろですが、一番高いのがティチノで1〜8.5%です。
親族以外への遺産相続の場合、ほとんどのカントンで高い課税率となっていますが、シュヴィッツ州では、免除されています。グラウビュンデン州のように、誰に遺産相続しても1〜4%というところもあり、考え方がカントン毎で大きく違うことが分かります。このテーマは、別の機会に特集してみたいと思います。
 
 
スイスでは、1年に何度も国民投票、住民投票が行なわれますが、どんな法律案が、国民投票に付されるのでしょうか?

スイスでは、1年に4回国民投票が行なわれます。これは、すべて公報で知ることができますが、今では、http://www.admin.chで簡単に予定を見ることができます。
まず、スイスの国民議会(各カントンで比例代表制で選出された200名の議員で構成されている)と州議会(各カントンから2名ずつ選出された議員によって構成されている)で議決されたすべての法案は、5万人以上の市民の請求があれば、国民投票にかけられます。さらに、憲法改正案、超国家的な機関への参加に関する決定、あるいは集団安全保障にかかわる国際組織への参加の決定などについても必ず国民投票にかけられます。通常、法律制定の発議は、政府、議会に議席を持つ政党、カントンによって行なわれます。しかし、スイスの政治制度の大きな特徴として、10万人以上の市民が集まれば、憲法改正を求めることができます。ただし、市民からの国民投票請求は、憲法に限定されていて、現行の法律改正、新しい法律の制定を要求することはできません。

 日本国籍とスイス国籍の両方をもっている女性がいるのを知っていますが、私はスイス人と結婚したのに、どうして、スイス国籍をすぐ取得できないのでしょうか。
(ルツェルン在住、日本人女性)

 1991年末まで、外国人女性がスイス国籍を有する男性と結婚すると入籍した時点でスイス国籍が与えられました。しかも、日本の法律では、外国国籍が強制的に与えられた場合、日本国籍を放棄する必要はないことになっているので、2重国籍の人がいます。
 しかし、1992年1月1日の法律の施行で、今日の連邦憲法の下では、男女を問わず、外国人がスイス人と婚姻関係に入っても、自動的に国籍が取得できなくなりました。今後は、スイスの国籍を希望する場合すべて申請方式となったわけです。
 原則として、最低5年間スイスに在住し、婚姻の相手と同居している条件がクリアーされ、初めてスイス国籍取得の申請が可能になります。ただし、日本国との関係で言えば、日本国籍は放棄することが求められます。

 私の子供たちは2人ともスイスで生まれ、スイス国籍と日本国籍の二重国籍ですが、「日本国籍選択届け」は20歳になるまで待たなければならないのでしょうか。

 そんなことはありません。子供さんが15歳未満の場合は、法定代理人(通常父母)が手続きの代行をすることが認められています。日本大使館、領事館でもできますし、日本へ帰ったついでに最寄りの役所で相談してみると簡単かも知れません。15歳以上の場合には本人が届け出できます。日本の法律では原則として二重国籍が認められていませんから、この「日本国籍選択届け」をしておけば、日本国籍を保持できます。スイスは、国籍選択を要求しません。

 Migrosに出かけると、「Cumulus」と言うカードの宣伝をしていますが、あまりよく分かりません。いったいどんな便利さがあるのでしょうか。

 この「Cumulus」という言葉は、「累積」とか、「蓄積」と言う語源で、ミグロの消費者への還元サービスの一つです。買い物のたびにこのカードを提示すると金額が累積され、50フラン買い上げごとに1ポイントが加算され、3ヵ月ごとに、50ポイントごとに一枚5フラン券の形で、還元されます。(家族全員が同じバーコードのCumulusカードを持つことができ、買い上げ額が、すべて累積されます。)ミグロでの買い物や、ミグロ・グループでの買い物等に金券として利用できます。その上ミグロが送ってくるCumulus割り引き商品リスト中の商品を買う時、もっとこの券が威力を発揮します。割引商品を買うためには、指定された枚数の5フラン券を商品券の裏に張る必要がありますが、割引商品の中には、通常の3割程度安い商品もあり、1%の還元のはずの5フラン券が、ここで1割〜3割を還元されると言う結果となります。
 ただし、この「Cumulus」カードを使うことで、あなたの消費生活の情報がすべて記録されますから、それが気持ち悪い方はやめたほうが良いでしょう。
(使わなくてもミグロは随分安いですからね。)

 「健太君基金」と言うのを耳にしたことがあります。具体的にどんなことなのか教えてください。

 ベルギーに住む5歳の健太君(お父さんがベルギー人、お母さんが日本人)が、急性リンパ性白血病にかかり、骨髄移植が必要となる可能性が出てきました。しかし、移植には、骨髄液型が同一の人のものが必要となりますが、その確率は何と1万人〜10万人に1人と言われています。しかも移植を必要とする人と同じ人種のドナーの中で、より高い確率で適合者が見つかるとも言われます。
 お尋ねの「健太君基金」は、現在『KE・N・TA』と改称され、より広範囲にドナー呼びかけの運動を進めています。
 ドナーになっていただける方は、通常18歳〜50歳(但しスイスでは45歳まで)の健康で、ヨーロッパ系とアジア系の父母をもつ方。骨髄採取に関する詳しいパンフレット(ドイツ語版、フランス語版)があります。

 骨髄採取以外に、より簡単に出来る方法はないのでしょうか。

 あります。臍帯血移植と言う方法もそのひとつです。出産時の廃物となる「へその緒」や「胎盤」から採る方法です。簡単にその方法の利点と問題点を紹介します。

◇利点
1)赤ちゃんを生む時に廃物となる「へその緒」と「胎盤」には骨髄液もしくはそれ以上の増血力のある血液 細胞が含まれているので、それを移植に使用する。
2)骨髄移植の場合、適合率はかなり低いが、臍帯 血の場合は適合率が高い。
3)骨髄移植と異なり、ドナーに痛みが伴わない。
4)研究結果による推測では、50年、100年問題なく、提供された臍帯血が保存できる。

◇問題点
5)体重30kgまでの患者にしか有効ではない。
6)骨髄移植ドナーと違い、へその緒と胎盤からは 一度しか移植ができない。(骨髄移植の場合、何度でもドナーとなることが可能)

 スイスでの現状や、どの病院で可能かは、下記連絡先までお尋ねください。
(この項は、ライズィバッハさんに答えていただきました。)

スイスでの連絡先:
『KE・N・TA』のホームページ
http://club.euronet.be/frank.am/kenta

 テレビでスイスのシャンペン・ワインのことが話題になっていましたが、本当にそんなワインがあるのでしょうか。

 フランス語圏スイスのヴォー州北部、ちょうどヌーシャテル湖からほど遠くないところに、「シャンペン」で世界的に有名なフランス・シャンパーニュ(Champagne)地方と同じ名前の自治体があります。しかし、ここで造られるワインは、発砲ワインではなく、普通の白ワイン。フランスの「シャンペン」とは比較の対象外。と思ったのですが、このワインの銘柄が同名であることから、フランスのシャンペン業界がクレームをつけ、この問題が EU とスイスの2国間協議の議題となり、フランス側はスイス側にこのヴォー州のChampagneの銘柄表示を削除するよう要求。交渉の結果、このスイス・シャンパーニュの名前は銘柄として今後使用できず、Champagne(スイス)の属する「Bonvillars」地方の銘柄を使うことになるとか。この取り決めが実施されるまで2年の猶予があるものの、すでに地元のスイスChampagne関係者からは強い反発があり、2年の猶予後も、銘柄変更をしないと言う強行姿勢を示しています。

 

 スイスの歴史始まって以来初めての女性大統領が誕生した・・・と報道されましたが、スイスの大統領は、フランスやアメリカの大統領のような権限があるのでしょうか。

 スイス連邦史上初の女性大統領は、ルットゥ・ドレフュス(Ruth Dreifuss)さんですね。昨年12月9日に選ばれましたね。スイスの行政府は「連邦委員会」(Bundesrat, Conseil f仕屍al)と呼ばれ、7名の連邦委員で構成されています。この7名の連邦委員が1年任期で順番に委員会の議長を務めますが、同時に大統領の肩書きを与えられ、内外のスイスの顔としての役割を演じます。しかし、フランスやアメリカなどのような、直接選挙により選出されるものではありませんし、巨大な権力集中はありません。あくまで連邦委員会が政府と連邦行政の一切に対して連帯責任を負っています。
現在議論が進められている政治分野での男女比率を1対1にしていく動きが今後も強まれば、当然2年に1回、あるいは毎年でも女性が大統領に就任する時代が、やがて来るに違いありません。日本では、女性の首相誕生はいつになることでしょうか?!

 

 昨年、日本の国会で公職選挙法が一部改正され、“在外選挙”ができるようになったと聞きました。どんな手続きが必要なのでしょうか。

 昨年5月6日に在外選挙実施のための法律が公布されました。これによって、来年平成12年(西暦2000年)5月以降の国政選挙(当面は、比例代表選出議員選挙に限る)で海外在住者が、海外で投票することができるようになりました。投票の資格を得るためには、在留届を済ませた上で、「選挙人名簿」への登録をする必要があります。この登録が今年5月から開始されます。選挙人名簿への登録がされていないと投票できませんから、ご注意ください。

詳しくは、ベルン日本大使館領事部、ジュネーヴ総領事館へお問い合せください。
なお、以下のURLで《在外選挙》の詳しい説明がご覧いただけます。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/election/index.html


  
 
今年は早めにヴァカンスの準備を始めようと思っています。休暇アパートの見つけ方について説明してください。

 (1)スイスの休暇アパートは、各地の観光事務所でリストを持っている場合が多いですから、まずどの地方へ行きたいかを決めます。各地の観光事務所の連絡先はスイス観光局へ問い合せるのが便利です。
Tel 01 288 11 11 Fax 01 288 12 05  Internet : http://www.schweizferien.ch
日本の場合は、スイス政府観光局へお問い合せください。Tel 03-5401-5406 Fax 03-5401-5427

(2)リストからいくつか候補を選定したら、TelかFaxで設備、料金等について確認しましょう。(賃貸料にアパート代の他に退出後の掃除代がプラスされるのが普通です)通常休暇用アパートは、土曜から土曜の1週間単位で借ります。

(3)申し込みをすると、手付け金を支払うことになります。この支払い期限が遅れると権利が失われる場合がありますから注意しましょう。通常《契約書》の記入をして申し込みますが、適当なアパート探しから、契約手続きを代行してくれる観光事務所もあります。

備考)どうしてもお困りの場合は、『グリエツィ』(スイス事務所)がご相談に応じることが可能です。
お気軽にお問い合せください。(但し有料です)

 『2000年問題』が話題に上っていますが、どんな対策をとったらよいのでしょうか。

 『2000年問題』というのは、簡単にいうとコンピュータ誤作動で、それから派生してくる問題は命に直接関わることも当然あります。 現代生活は、コンピュータと切り離せない生活になっています。「うちにはコンピュータがないから大丈夫。」では済まされません。電気、ガスを始め、今やほとんどのものがコンピュータでコントロールされていますから、この誤作動によって日常生活に支障が生じる可能性もある訳です。すでに専門家や関係者によって対策が進められていますが、それでも正直のところ、どんな不測の事態が生じるか分からない部分があり、用心に越したことはありません。簡潔明瞭で、実行可能な対策が、http://www.mww.co.jp/yk2.html のウェブ・サイトで紹介されています。参考になるでしょう。

1. 懐中電灯、ロウソク、マッチを用意しておく。
2. 一週間分の飲料水を確保しておく。
3. 最低5日分の食料を確保しておく。
4. 救急用品を準備しておく。
5. 1999年12月31日前に医者、歯医者にかかっておく。
6. 一定額の現金を手元に持っておく。
7. すべての支払い領収書を保存しておく。
8. 1999年12月31日から2000年1月末までは旅行しない。

2000年問題(Y2K)については、インターネット上で無数の情報がありますが、大切なことは、あまりパニックにならないこと、デマ情報などに惑わされないことでしょう。

●2000年1月1日にお宅の電話がちゃんと使えるかをチェックする方法があります。
Swisscom では、「Millennium Customer Care2000年問題サービス)の窓口が設けられ、対応しています。

Internet : http://www.swisscom.com/2000k
E-mail : millennium-cc@swisscom.com
Tel : 0844 80 2000
お近くのSwisscom Shopでも もちろん相談に応じてくれます。

 スイスでドイツ語システムでのコンピュータを使用しているのですが、インターネットで日本語のホーム・ページを読んだり、E-mail を日本語で書いたり、読んだりできるソフトウェアがないでしょうか?(ルツェルン、Aさん) 

 もちろん日本語システムや日本語Kit をインストールするのが、一番確実な方法ですが、それをするまでの対応策として、Windows98/MEをお使いならマイクロソフト社より異なった言語の読み書きができるプログラムが無料配布されています。もちろん日本語もあります。これをダウンロードしインストールする事で、その時からすぐ日本語メールの送受信と日本語のホーム・ページも閲覧できます。
ただ、難点はもともとOSが欧文ですから、メールのタイトルは日本語だと文字化けすること、日本語システムで作成したファイルが開けられないことです。しかし、石川啄木ばりのローマ字メールから解放されるので、グッと楽です。

●インターネットエキスプローラーのメニュー、「ツール」(Extras)より「Windows update」を選べば自動的にアップデートサイトへ飛べます。製品の更新項目を選べば、オンライン上でパソコンがチェックされインストール可能なプログラムが表示されます。言語パックは表示されたリスト下部にありますのでその中から日本語を選んでダウンロードをします。

「Windows Update」 (マイクロソフト社) http://windowsupdate.microsoft.com/

■Windows XPにはすでに日本語を読み書きするプログラムMS-IME2002が入っていますので、設定後すぐに日本語をご使用になれます。

 2000年1月1日から、新しい離婚に関する法律が施行されるようになったと聞きました。今までとどう違うのか教えてください。 

 スイスでは、1907年から、離婚法が改正されていませんでした。今日の結婚・離婚・家族の実態に照らしてその改正の必要が長く求められていました。スイスの離婚率が他のヨーロッパの国々より高い一方で、スイスだけが旧来の離婚法を維持し続けてきたのです。
今日、100組の結婚したカップルの内41組が離婚するという実状の中で、従来の、離婚の原因を作った「犯人」捜し的であった離婚法を改め、当事者に、離婚後の関係、生活費、老齢年金積立金の分配、子供の養育などの問題に責任を持たせ、国の介入を最小限度に制限する、という目的で改正されたものと言われています。その主要な点は、(1)夫婦間で合意がある場合の協議離婚が明文化されたこと (2)合意がない場合でも、 4年間の実質上の別居後に、一方的に裁判所に離婚請求することが可能となったこと (3)離婚後、夫婦間で合意がある場合、離婚後も共同に保護養育権を持つことが新しく可能となったこと (4)離婚後の子供の扱いについて、裁判所は子供本人の意見を聴取することが義務づけられたこと (5)離婚後の生活費について、従来、離婚の原因と判断された側には、生活費を受け取る権利がありませんでしたが、新法では、婚姻期間、年齢および健康状態、収入並びに財産等の判断基準に基づいて決定されるようになったこと (6)老齢年金の第2の柱に関して、離婚後も、財産分与(2分の1)の請求が可能となったこと、などです。 詳しくは、ぜひとも法律の専門家にお問い合せください。